第四章 第五話

「ただいまぁ」

「おっそ~い」

家を出たときと同じ体勢で、瑞穂がいた。

「お前、今日そこから動いたか?」

「失礼だなぁ。ちゃんと動きましたよ。アイドル級にかわいいこの瑞穂ちゃんでも、トイレくらい、いくんですからねぇ~」

 どこがアイドル級だよ。顔はかわいいが、性格は中々アレだぞ?

 背中にいる眠り姫を、リビングのソファーへと寝そべらせた。

 すると、自称アイドル級が飛びついてきた。

「おい馬鹿兄貴!てめぇ、ついに睡眠薬を飲ましてお持ち帰りしたのか!!」

 殺意が見える。

「ばぁか。コイツは北斎真白だ。色々訳あって保護してる」

「あぁ~お兄ちゃんの彼女の!なるほどなるほど!それならまぁ、今夜は邪魔しないからのんびりうっふわきゃきゃあっはーんしてね!って……で、訳あってって??」

 瑞穂が追及してくる。弱ったな……これ以上巻き込みたくないんだけどな……

「家出して、途方に暮れてたところを偶然みつけてな」

「お兄ちゃんに会いたかっただけなんじゃない?」

「んな訳!!!」

 何とかごまかせたようだ。平和な四条家のまま保てそうだ。

 瑞穂は気づかず、呑気に笑っている。

「ついにお兄ちゃんにも彼女が……(小声)」

「ん?なんか言ったか??」

「うんん!なんでもないよ!」

 なにか瑞穂が言った気がしたが、まぁいいか……

「とりあえず、飯食うか!!!」

「うん!!」

 そして、俺はキッチンへ行き、いつもの四条柊人流とりあえず野菜入れときゃ野菜炒めだろ野菜炒めをつくる。これしか作れない訳じゃないからね?


 夕食を終え、リビングでくつろいでいると、真白が目を覚ました。

「ふぅあ。…………ここは?」

「あぁ。目を覚ましたか。ここは、俺の家だ。タクシー内で寝てたから、勝手に連れてきた。悪いな」

 真白が辺りを見まわした。そして、自称アイドル級をみて言った

「もしかして……瑞穂ちゃん……?」

「え?私のこと知ってるんですか?」

「えぇ知ってるわよ、瑞穂ちゃんが生まれた当初に柊人君がよくメールで写真送ってくれたもの。ちっちゃくて、かわいかったわねぇ~」

 昔の俺……何やってんだよ!!うわぁ~瑞穂の視線が痛いわぁ……胸に刺さるわぁ……頼むからこっち見るな!

「瑞穂……俺は悪くない!」

「悪いわよ!だってお兄ちゃんは――――」

 瑞穂は何かを言おうとして、下を向いた。

「お前、何言おうとしたんだ?」

「何でもないよ~アハハハハハハハ」

 もう少し問い詰めてみたいところだが、今日はこの辺でやめておこう。まぁ、真白もいることだしな。

「二人は仲良しなのね!」

 真白がにこっとして言った。

「べ、べ、別に良くも悪くもねぇよ!あ、それより飯食うか?」

「えぇ、頂くわ」

 そして、俺は2時間ぶりにキッチンへといき、四条柊人流とりあえず(以下略)をつくり、そこに、客人用にと買っておいた牛肉を少し混ぜて再度炒めた。流石に、野菜だけというのは、なんだかなぁ~だよね?


「意外。おいしい……」

 真白にしては素直に喜ぶ。

「ホ……ホントか?!」

「うん!柊人君料理出来るんだね!」

 真白……素直にかわいいな……妹に欲しい(切実)

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