若者が恐れる「失敗」とは

最近は痛風気味

若者が恐れる「失敗」とは

野球部時代の同期の親父さんは、私が遊びに行くといつも私に言う話がある。

「君を見ると、盗塁してトコトコ歩いてアウトになったのを思い出すよ」


ある球場での試合で、一塁ランナーだった私は、盗塁を試みた。それはサインプレーだったかは忘れた。

それでも足の早い方だったので、ランナーに出た時、盗塁の機会は多かった気がする。


スタートも悪くなかったが、アウトかセーフか微妙なタイミングだった。スライディングした際、ショートの選手が私に被さって来たので、審判の判定が聞こえなかった。

そのショートの選手も結構な時間被さったままだったので、私は判定を聞かず「アウトか」と勝手に判断して、三塁ベンチへと歩を進めた。

そうすると、3塁のベースコーチャーが何やら言っている。歓声もあった事も相まって、自分にはその意味合いが分かっていなかった。

ニ、三塁の中程でタッチされてアウトになった。判定はセーフだったのだ。ショートの選手も「セーフなのに何をトコトコ歩いて行くんだろう」と思ったのだろうか、直ぐにはタッチしに来なかった。

歓声は、怒号と嘲笑の入り混じった様だった。

当時は「失敗した」「やっちまった」感が大きく、「恥ずかしい」とは思っていなかった。

大人になってその話をされると、逆に少し恥ずかしいが、いい思い出になっている。


これは私の失敗談だが、その経験から今では日頃、

疑問に感じたことはなるべく確認する事にしている。


「失敗は成功の母」「雨降って地固まる」など、先人は上手いことを言うものだ。

そもそも、何事も


「失敗しなければ、どうしたら成功するか分からない」はず


なのだが、それは我々以上の年代の話になるのか?と思うほど、ネットで検索エンジンに単語を入力すると大概失敗しない「答え」が返ってくる。我々の世代にはそんな文明の利器など無い。

検索エンジンを利用すれば答えが直ぐわかる。それに沿えば間違える、または失敗する確率が格段に減る。

私も若かりし頃、やはり「失敗」を恐れて「失敗しない」様に仕事やプライベートでも気を使っていた。いい子でいる。だから、気を使いすぎて疲れる。

また、更に何が正解かも分からない場合もある。だから、失敗して覚えるしかない。それが経験になり、蓄積される。

現代の若者をどうのと言える立場でもないが、若い内はそれが普通だと思う。だが、その検索エンジンの「答え」には、先人の「失敗経験」が「答え」になっているものも間違いなくある筈だ。

我々以上の世代の「失敗」は、「成功するため」の種であり、今の時代の「失敗」の捉え方は、成功するための種ではなく、「失敗しない」ための対象である様に思える。だから、「失敗したくない」一心で必死に検索エンジンで「成功するための正解」を求める。正解を事前に知っているのだから、当然「失敗しない」。しかし、それは決して真の「成功」ではない。ある意味「カンニング」とも言える。

我々の時代も「XXマニュアル」が流行し、彼女の作り方の指南もあった。しかし、相手もその手段を知っているため、大概宛にならない。それが真の「答え」ではないからである。人によって違うに決まっている。相手は人間だから。今思うと少し笑える。「何であんなことしてたんだろうなぁ」と。

そんなのが正解であるなら、今の出生率も少しは変わっていただろう。

「失敗」の捉え方、向き合い方が今とは違う。「失敗」の前向きな捉え方か後向きか。


「虎穴に入らずんば虎子を得ず」


虎の子供の捕獲方法は、検索エンジンに載っているのだろうか?載ってる事を実践すれば、捕獲出来るのだろうか?もし、雨の日だったらその時の方法は載っているのだろうか?

もし載っていないとしたら、どうすれば虎の子供は捕獲出来るのだろうか?

自分で色々工夫、体験してみないと分からないのではないだろうか?まぁそれをネットにアップすれば捕獲できる「かも」知れないが。

仮に検索エンジンを引いて、そのやり方があったなら、実践して虎の子供をゲット出来たとして、感動は、やった感はあるのだろうか?

所詮、「人のまわしで相撲を取って」いるだけだ。

人に自慢してもその過程を伝えたなら、

「ほー、そんで?」で終わるのではないだろうか。

失敗を繰り返して、奮闘して虎の子供をやっと捕獲出来た時の話の方が面白いに決まっている。


野球のゴロは、そのバウンドが多くなるほど球の動きが不規則になり、エラーの確率が増える。イレギュラーするケースも多い。だからエラーをしないためには、エラーを恐れずなるべく前で捌くと上手く取れる。ゴロを待って取るとエラーしやすい。

エラーを恐れずボールを取るか、待って取りに行ってエラーするか。

今年の高校野球、甲子園大会も佳境だが、そういう打球の処理方法のワンプレーで勝敗が決まるかも知れない。

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