第2話

4人は、彼らの転校のため特別に用意されたエレベーターで各教室へと向かった。表向きは学校の形をしているため、クラスや授業が存在するのである。クラスにはD、E、B、U、の通常クラスと減量成功間際の細めの生徒たちが集まるS、そして普通の減量法では間に合わないため特別メニューを与えられている極度肥満児たちのXとがあり、通常クラスは4つの平均体重が同じになるように編成されている。

リコが案内されたのは初等部6年D組だった。

教室に入った瞬間から荒い息の音が聞こえる。縦横数列ずつに並べられた席には程度の差こそあれ皆肥満と言える体型の子供たちが座っていた。彼らもリコと同じく白のレオタードを着ているものの、ぱっと見たところではそのようには見えない。無駄な肉が一切なく、身体をレオタードで「覆っている」という表現がしっくりくるリコの姿に対し、同級生の肥満児たちはそれに「縛られている」ように感じるほどで、全身のいたるところについた贅肉の奥深くまで生地が食い込んでいた。一般的な小学校と同じものと思われる簡素な椅子は常にきしみ、さながら彼らにのしかかられた人間のうめき声のようであった。そもそも普通体型の児童を想定して作られた椅子に彼らの尻が収まるわけもなく、レオタードが掴みきれなかった巨大な尻肉は椅子から大きくはみ出していた。そのせいか、あまり広くない教室はさらに狭くなり、子供同士はほとんど触れ合っているほどだった。

これから自分は彼らと同じ姿になる…決心はついていたが、やはり目の当たりにすると少し揺らぐ部分もあった。その揺らぎがもろに表れた細い声で、リコは自己紹介をし、肥満児と肥満児の間の、この空間で一番広いスペースに着席した。


悠は初等部5年E組に入ることになった。

彼の落ち着かない表情の原因は、実は転校と別のところにもあった。

ここに着くと同時に与えられた制服のレオタードが、すでに少し窮屈なのである。肩と尻のあたりに押さえつけられるような感覚があり、現にそれを感じる部位ではわずかばかり生地が食い込んでいた。

色白の体にできた、うっすらとした肉の段…

デブに着せる服が窮屈であるという事実…彼はすでに自分が太っているのではないかと疑い始めた。

これは施設の策略だった。人の体重の増減に関して、自己暗示は大きな役割を果たす。「太っている」と思わせることは、これから効率よく彼を太らせるために必要なことだったからである。彼は太りにくい体質で、なおかつ過去に太ったこともなく、そもそもの脂肪細胞も少なかった。彼がこれから再び肥満細胞の増える思春期に差し掛かることだけが救いであったが、とにかく彼を、同級生に恐怖を与えるほど肥やすには多くの手間がかかるのだった。

同級生を前にして、悠は自分が彼らのような肥満児になることに、それほどまでに嫌悪感を抱かなかった。むしろそうなってしまうのも時間の問題だと思うほど、自身の体型を誤認識していた。研究所ですら予測していなかったほどの成果も手伝い、悠の予感はこれから見事に的中することとなる。

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