第13話 ルーツ
美彩都は夏休みに入り、俊樹、真田、黒川とともに、フランスに来ていた。
パリ郊外にある、黒川の父親が経営する小さなホテルに荷物を置き、家坂早苗のアパートを訪ねた。
フランスのアパートは築100年はざらで、家坂のアパートも例外ではなかったが、日本人からすれば、外国の古い建物は、どんなに古くても、憧れなのである。
石段を何段かあがり、教えてもらっていたドアコードを入力し、ドアを開けた。そこにはエントランス、らせん階段とエレベーターがある。場所によっては、高層でもエレベーターもないところが多いが、家坂のアパートは狭いながらも、エレベーターがついていた。
「1階が、0階なの?それに、蛇腹の扉。」
「フランスではそうなの。家坂先生の部屋は、日本だと5階になるけど、ここでは、4階。」
美彩都は、夢を思い出い出していた。夢の中のエレベーターもそうだった。
0階があった。この階数のボタンも似てる。
少し、緊張気味の真田は、揺れが苦手らしく、無言になっていた。
辿り着いた一行を、家坂が笑顔で自宅に招き入れてくれた。部屋を見渡した真田は、いつかの自分のプロファイリングが、ほぼ当たっていたことに、心の中で自画自賛していた。
「わぁ、素敵、天井が高くて、窓も大きくて、広くて、西洋って感じ。でも、上手く、和が溶け込んでる。センスいいなあ。」
「ありがとう。美彩都ちゃん。でも、古いでしょ。きれいに見えても、水回りが、ボロボロなのよ。何度も修理してるのよ。」
「全然いいです。あ、すみません、いきなりで。初めまして。白石美彩都です。」
「父の俊樹といいます。」
「こちらこそ。よろしく。さて、明日は、南フランスの方に行きますね。もう一人、私の
職場の同僚のアリスがもう行ってるわ。そのアリスのお母さんが住んでいる実家が、写真を持っている家なの。それから、あの写真のお城ね、同じ場所はやっぱり、なかったけど、もう一度、資料で探してみたの。これはあり得ない事だけど、あるはずの屋根がなかったり、庭が無かったりと、未来の朽ち果てた姿として想像するなら、結構、有名なお城があったわ。明日、時間あれば、行ってみる?」
美彩都らは、家坂のその提案に同意した。
翌日、パリから飛行機で、南フランスのトゥールーズ空港に着いた。そこから列車とアリスの車の迎えで乗り継ぎ、色とりどりの花々を横に観ながら、細々とした石畳の坂を山間を縫うように、コルカという農村のある民家の前に着いた。
ドアをノックすると、アリスと、母のエマが出迎えてくれ、家坂の通訳で、会話は始まった。
『ようこそ。話は聞いていますよ。あの時の青年の娘さんなのですね。お父さんの行方が分らないって聞いて、何と言ったらいいのか。それで、行方を捜しているのですね。』
「はい、私が生まれてすぐだったから、十七年になります。フランスから、帰ってきて1か月後に行方が分らなくなりました。ここでの事が関係しているのかどうかわからないですが、父が残した、この写真と同じ写真を持っている人がいると聞いて。あと手帳にもフランスへ行った事が書かれていました。父は、ここで何を聞いたのかが知りたくて来ました。何か分かるかもと。」
『しっかりした娘さんだね。あの時に、お話したことをお伝えしますね。あの時は、同じ写真を持ってる人がいるなんて、本当にびっくりしたね。あの青年が持っていた写真の裏に、ここの住所が書いてあったんだよ。それを頼りに来てくれたんだね。確か、あの時は女性の方も来ていたわね。それで、この写真の事も書いてある、この日記の事を話したの。』
エマは、十七年前に神田蒼真にも話したように、祖母のアリシアが書いた日記を見せながら、その内容を話した。
「私と父のルーツが、フランスのどこか。なんか、外国のおとぎ話のようで、夢の中で話を聞いてるようだわ。でも、この家系図とも合っているし、不思議な石の事も、頭の痣の事も、話がつながった。それに、父がここに来たっていう事がわっかった。母が、ほとんど話してくれなかった父の姿が、十七年前に、ここにあったんだって。」
家坂が補足した。
「王政が終わったのが、19世紀半ばなんだけど、フランスは最近まで、王位継承権を持っていると公言してた人がいたわ。王族の子孫も貴族として残っているし、そう、遠い話ではないの。」
エマはもう一枚写真を持ってきた。
「あなたのお父さんが来た時、一緒に撮ったものよ。日本にも送ろうと思ったんだけど、そのままになってしまってて、ごめんなさい。」
「これ、お父さんだ。小さい頃、ママに一度だけ見せてもらったの思い出した。あ、夢の人…。」
美彩都は、色々見えてきた事もあったが、現実感の無い日記の中身より、父の存在を感じる事ができたことの方が嬉しく思えた。そして、消された夢の中の若い男性の顔の記憶が蘇った。
俊樹は、美彩都の肩に手を置き、言った。
「そうだ、蒼真だ。今日のこの話を聞いても、確かに、遠い国の話のように思えるな。蒼真もどこへ行ったかはわからない。この写真の場所も。」
真田と日記を見ていた、黒川が騒ぎ出した。
「ねえ、ねえ、これって、鳥居の形じゃない?あと、お地蔵さんの絵と、この数字、距離かな。kagerou、kamioyamaは陽炎と神生山。この山あるよね。」
真田が答えた。
「神生山にあるよ、赤い鳥居。そこから、奥の方に1キロくらい行ったところかな、ちょうど分かれ道のところに三体並んだ地蔵。この場所、何意味してるんだろう。」
俊樹の顔色が変わった。
「そこ、自分も哲也と二人で行ったことある。陽炎はなかったが、霧がかかりやすい場所だった。迷う人も多いと聞いている。でも、行方が分らなくなった日に行くって言ってた山とは違う山だよ。だから、神生山は捜索してない。」
『あの時も、この文字を見て何やら騒いでたね。』
エマが思い出したように言った。
「神生山が何か、関係ありそうだな。帰国したら、行ってみるか。何となく、闇の中から、ちょっとだけ、光が見えた…ような気がする。」
真田の言葉に、黒川が反応した。
「ずいぶん、消極的発言ね。でも、フランスまで来た意味はあったんじゃない?」
「そうだな。写真の場所こそまだ分からなかったが、写真が、美彩都と蒼真のルーツであることがハッキリ分かっただけでも、来た甲斐はあったと思うよ。石と痣の事もわかったしね。やっぱりフルール・ド・リスだって。」と、俊樹が答えた。
「あとは…。どこへ行ったんだよ~蒼真~!だね。でも、こっから進むのかなぁ。」
緊張が解けたのか、真田が大きく背伸びした。
『蒼真さんの行方が判ること、祈ってますよ。』
エマが、美彩都の手をそっと握った。
「ありがとう、エマさん、アリスさん。」
美彩都は、何か、体中の血液が熱くなるような感覚がした。
あの時と同じ感覚。学校で、智花と接触した時と…。
一行はコルカ村を後にし、カルカソンヌを訪れていた。黒川からの説明が始まった。
「さっき城壁がずらーっとあったでしょ。ここは古代から要塞都市として造られたものなの。お役終えてから、しばらく朽ち果ててボロボロだったんだけど、19世紀になって、修復がされて、今はもう観光地ね。中には、教会、ホテルや、レストランもあるわね。」
「コルカは、おとぎ話で、ここは、騎士が出てきそうね。アニメや映画のセットみたい。眼が2つしかないのが歯がゆいわ。もっと見たい。」
「美彩都ちゃんは欲張りだね。好奇心旺盛な事は良いことだ。」
「ありがとう。真田さんくらいだわ、そう言ってくれるの。パパもママも、この世界観、理解ないのよ。」
「みなさーん、今日はトゥールーズで一泊して、明日はバスに乗って、見せたかったお城に行きまーす。パリでもう一泊して、日本へ帰りまーす。予定変更なしで、良いですかあ。明日早起きですよ~」
家坂が、一行の後方から、スケジュールを確認した。
「はあい。先生!」一行の手が上がった。
「修学旅行みたい。まあ、歳取った学生もいるけどね。」
「美彩都、一言多いよ。」
「はい、パパ、ごめんなさい。」
この不揃いな小団体は、規律正しく、逸れることもなく、笑い声とともに歴史的な街並みを歩いた。
翌日、朝5時にトゥールーズを出発し、午後13:30にトゥールに到着。歩を進めながら、家坂のガイドが始まった。
「お城2か所回ります。まずは、ここ、シャンボール城、ほんとにきれいですね。でも、元々は、この城は16世紀、フランソワ1世の趣味のための狩猟小屋が始まりでした。なので、居住目的建てたわけではないから、冬は寒いし、周囲は何もないし、食料もたくさん持ち込まなくてはいけなくて、当時は大変だったんです。それでもあのルイ14世なんかは、とてもこのお城を気に入って、修復や調度品をたくさん揃えたみたいね。そして、長い年月、何代か城主を経てはいますが、途中、放置されたり、野戦病院としても使われたようです。現在は再修復も施され、フランス政府の所有となっています。修復と言っても、大きくは手を入れていないから、歴史的価値が大きいの。それにしても、まあ、大きいでしょ。この庭も、狩猟パーティーなんか開かれたっていうから、豪勢よね。」
「ルイ14世って、ベルサイユ宮殿造った人?」挙手した美彩都に黒川が答えた。
「そう、ベルサイユ宮殿が完成するまで、ここに滞在してって話もあるのよ。少しでも豪華な感じが好きだったのね。それと、このお城、最近、アニメの実写版の映画の舞台にもなったみたいよ。」
「あ、それ、観た。なるほど、なるほど。それっぽい!」
「黒川さん、川があるね。コソン川?ロワールじゃないんだ。」とパンフレットを見ていた真田が聞いた。
「そうよ。この地方はロワール川流域に広がる、ロワール渓谷と言って、コソン川はロワール川の小さな支流になるの。ロワール川も近いわよ。ロワール渓谷は歴史上重要な都市が多くて、300を超えるお城もあって、何といっても、その姿を今も留めているってとこが、すごいのよ。それだけ、お城への思いが強く、維持できてきたのね。ロマンだわ。おとぎ話なんかによく出てくるのも、分かる気がする。」
同じく、パンフレットを見ていた俊樹が指さした。
「あの白いらせん階段が、レオナルドダヴィンチが設計したって。だからダヴィンチ像があったんだ。」
「変わった階段よね、昇り降りが、相手に出会わないように設計されているなんて。」
一通り、観終えたのを確認し、家坂が指揮を執った。
「さ、次行きましょう。」
一行はバスで移動し、木洩れ日が射す、木々のトンネルを抜け、シュノンソー城に到着した。
「このお城が、一番、見せたかったお城で、写真の風景に一番似てると思ったお城です。どう思います?」
「確かに、円錐の塔はあるけど、川の上の建物が半分くらいしか、ないけど、そこが崩れたとしたら、合うかもしれないな。この川はシェール川だね。」
真田は取り込んだスマホの写真と見比べながら言った。
「中も入りましょう。」黒川が先頭に石段に足をかけた。
「あ、青い鳥!」
美彩都が塔の上部を指さした。
「どこ、青い鳥なんていないよ。」
俊樹の言葉に、黒川が、かぶせた。
「私も見た、塔の裏の方から何羽か飛び立った中に、ちょっと逸れた1羽だけ青かったわよ。」
「こんなお城観たから、そう見えたとかなんじゃないのか?」
と俊樹が言った。
「一人だけなら、そうかもしれないけど、二人が見たのよ。」
「子供にしか見えない妖精的な事か?」
美彩都は、真田がどこか自分をからかっているように感じた。
「私たち、子供でないですけど。眼が良いだけよ。」
美彩都のふくれっ面に、俊樹が口を挟んだ。
「その顔が子供だって言うんだよ。」
「さあさ、時間ないから、中、入りましょう。」
家坂の姿は、本当に引率している修学旅行の先生のようである。
「このお城は何と言っても、女性のお城っていうとこでしょうか。15世紀に建造されてから、16世紀以降、6代にかけて、女性が城主というもので、となれば、色々と愛憎劇もあり、3番目カトリーヌ・ド・メディシスが、アンリ2世の愛人の2番目のディアーヌ・ド・ポアチエを追い出し、橋の上の三階建ての建物を増設して、今のような姿になったの。今の姿は、こういう、女のドロドロの歴史も関わっているのよ。」
「やっぱ、女性は怖いな。」
「そうそう、女性には、刃向かわない事が、身を守る秘訣だな。」
俊樹は真田の言葉に共感した。
「なんか、実感ありありね。」
黒川が、真田と俊樹を皮肉った。
城の中には、それぞれの寝室、台所、図書室、礼拝堂など、床、壁、天井に至るまで、凝った、彫刻、絵画、調度品、装飾品に彩られ、歴史的にも価値があるものが多い。ホールの粘土製のタイルでは、剣とフルール・ド・リスがクロスする模様が描かれていた。
「この模様って、やっぱり、フランスの紋章なんだ。」
自分の額に触れながら、美彩都が力無い声でつぶやいた。
「黒川さん、手つないでもらっていいですか?」
「いいけど、どうしたの?顔色が悪いけど。」
「うん、なんか、ちょっと気分が悪くて。」
「疲れが出たのかな。大丈夫?もう出る?」
「もう少し、観て回る…。でも、やっぱ、ダメかも。パパ、身体、持っていかれそう、パパ!パパ!」
尋常ではない美彩都の声に、俊樹が駆け寄った。美彩都を負ぶって、シュノンソー城を小走りに出た。一行も後を追った。
「パパ、もう、大丈夫。」背中の美彩都が声をかけた。
「どうしたんだ。何があった。」
「私にもわかんない。シュノンソー城で、青い鳥を見たあたりから、身体が重くなって、周っているうちに、どこかに吸い込まれそうな感覚になったの。パパの背中にいる時、一瞬だけど、なんか、古いお城を見たのよ。見たというか、私がそこに立ってた。誰かわからないけど、きれいな女性がいた。」
「美彩都を負ぶってた時か、ぐったりと重たかったし、気を失ってたと思った。それに背中がなんか熱かったな。」
「夢なのかな。あと、私は熱くないよ。たぶん、この石。この前もこの感覚と石が熱くなった。」
「この前って?聞いてないぞ。」
「学校でね、クラスの子の様子が変で、その子が私に触れた時に、2人とも、転倒したの。その時と同じ感覚。」
俊樹と美彩都のやり取りで、家坂が困った表情を見せた。
「最後にもう一か所回りたいところあったんだけど、よした方がいいかな。」
「大丈夫です。行きます。」
「美彩都、無理するな。」
俊樹の言葉を遮るように、美彩都は強い口調で言った。
「ほんと、もう大丈夫だから。もう来れないかもしれないでしょ。」
「わかった。何かあったら、すぐ言うんだぞ。」
「はあい。で、家坂先生、どこ行くの?」
「美彩都ちゃん、やっぱり若いわね。さっきと顔色が全然違うわ。それでね、ほんとはパリに戻ってから帰国と予定していたけど、パリから高速鉄道で、1時間ほどのランスっていうところがあるの。フランスの歴史には欠かせないものがあるから。その場所で、説明するわ。」
「ここ、ルーブル?透明感があってきれい。」
「そう、ルーブル美術館の別館。日本人も設計に関わっているみたいよ。きれいでしょ。」
美彩都の問いに黒川が答えたあと、家坂が続けた。
「えっとね、奥にある、ここの目玉にもなっている、ドラクロワの作品があるの。絶対一度は観たことがあると思うわ。」
「わぁ、ほんとだ、観たことある。フランスの七月革命の絵でしょ。」
「そう、美彩都ゃん、正解!『民衆を導く、自由の女神』。これを描いた、ロマン派のドラクロワも、絵画界での革命を起こした人でもあるの。本来、この時代、王とか、司教とかからの依頼で、聖書の内容や、戴冠式など、それも、とてもきれいに、注文通りに、描かれたものが常識だった古典派に対して、ドラクロワは、ギリシャの独立紛争戦争を描いた『キオス島の虐殺』なんて、描くもんだから、まぁ、避難の的、今なら、大炎上したという事になるわね。でも、当時は活字だけの報道だったから、絵の力で、生々しい実態を報道したことにもなった。ここにはないけど、魔女狩りの影響と思われる絵も描いたみたいね。絵の実力はあったんだけど、散々な評価受けたから、絵の依頼なんて来なくなって、生活は大変だったみたいね。でも、七月革命が、ドラクロワの評価を変えたの。この、民衆を導く自由の女神は、よく見てみると、学生や、商人、労働者が描かれているでしょ。この絵の象徴的な真ん中女性もモデルがいるとかいないとか。国のために絵を描くのではなく、市民側に立って、世相を反映した事実を描いたと言うのが、市民からの評価を得て、その後も色彩の研究家でもあったドラクロワは、これまでのハッキリした輪郭を描かずに、筆のタッチや色彩で、躍動感ある表現で描いたの。後のピカソや、ルノアール、ゴッホにも影響を与えたとされているわ。」
「すごい人だなぁ。」と美彩都の言葉に、
「自分だったら、長いものに巻かれてしまいそうだけど。」
と俊樹が言った。
「やだ、ママが、パパは正義感あるって言ってたのに。」
「その時代は、異を唱える事は命にかかわるからな。」
真田が、フォローした。
「そうね、歴史って、新しい発見や、科学、物理などの進歩で、常識が非常識になる事を繰り返してきたのね。非常識は、保守側との反乱を経て、常識となっていく。今だって、10年後は、全く違う事言ってるかもしれないからね。」
一行はパリに向かう、列車の待ち時間で、家坂が、この旅行を締めた。
「では、これで、私の役目は終わりですね。お役に立てたでしょうか。」
家坂の問いかけに、真田が答えた。
「本当にありがとうございます。最初はどうなる事かと思いましたが、写真の事や、歴史の事も知ることもできたし、来て良かったと思います。」
真田の言葉に頷いていた美彩都が、あとを追って話した。
「すみません。ご迷惑かけてしまって。自分と父のルーツが、ここフランスだってことがわかった事がとても私にとって大きいです。家坂さん、黒川さんに本当に感謝しています。これから帰ってから、ママにも話して、とりあえずは、ゆっくり眠りたい。」
「そうね、美彩都ちゃんは身体休めてから、次の事考えましょう。みなさんと、この充実した旅行はとても楽しかったわ。ねぇ、真田さん?」
黒川が、美彩都の肩を抱きながら、言った。
「えっ、いや、こちらこそ。」
「あれ、真田と黒川さん、良い感じだね。」
俊樹が言った言葉に、美彩都と家坂も、黒川と真田を交互に見て、声を揃えた。
「そういう事か~。」
パリに到着し、家坂と別れた美彩都らは、日本に向けて出発した。
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