7話 幽霊の正体?

「誰かいるの」


灯りのある部屋から誰かが出てきた。

咄嗟に顔を引っ込めた為相手の顔が確認出来なかった。だが、声は聞き覚えのあるものだ。


ん? てかこの声って!


僕は声の主を確認する為に勢いよく廊下に出た。


「うお!」

廊下に出たと思ったらいきなり光の矢が飛んできた。僕は咄嗟にそれを屈んで回避する。


「あら、憶斗じゃない。どうしてここにいるの?」


声の主、朝倉あさくら エミリーは心底不思議そうな顔でそう言ってきた。


「いや、その前に謝れよ」


さっき飛んできた光の矢、当たったら怪我じゃ済まない程度だった。


「あんたが飛び出して来るからじゃない。

だいたい、こんな夜遅くに学校にいるってことは裏の人間としか考えられないでょ」


「そ、それはそうかも知れないけど・・・」

確かにこんな夜遅くに一般人が学校に来る理由とか思い付かないけど・・・。


「で。あんたがいるって事は何か依頼?」


「あーいや。ちょっと幽霊に会いに。」


「ふーん、幽霊ね。この学校にいるの?」


「さあ」


「は。依頼で来たんじゃないの!」

僕の一言にいきなり激怒してきた。声が大き過ぎる。誰も居ない学校でその怒声が校内響く。


「うるさいな。てか、依頼じゃないし」


「うそ」

一瞬驚いたかと思うとエミリーが僕と自分の額に手を当てた。不覚にもエミリーとの距離が近くなった事にドキリとしてしまった。


「熱は無いみたいね。

まさかあんたが依頼以外でこっちの活動をするとは・・・失恋でもした?」


「何でそうなる!

学校で幽霊の噂を聞いたから調べに来たんだよ。本物だとヤバイし。」


「そうなんだ」

そう言いながらもエミリーはジト目で僕を見ていた。


「そ、そうだ。お前は何でここにいるんだ?

まさか学校での噂ってお前の事を言ってるじゃないよな?」

急に話題を振られたからか一瞬ビクっと震えたが、「はぁー」と大きくため息を付くとこんなことを言ってきた。


「そんな訳ないでしょ!今日、初めて来たんだから。それに私は幽霊何かじゃなくて「しー」」

突如、エミリーの口を手で塞ぎ声を遮断した。

始めはいきなり話を遮られた驚きと怒りで顔を真っ赤にしていたがエミリーも気付いたのか僕の後ろに視線を向ける。その顔は真剣の表情その物だ。僕も振り替えって耳を澄まし警戒を強める。


トン、トン、トン


校舎の床を歩く音だけが響き渡る。


僕は分析を開始する。僕の能力、完全記憶は生まれてから今まで、16年間の全てを記憶している。その経験則は伊達じゃない。

足音からして女性。距離は約50m。武器らしき物は持ってない。

だか何らかのによって姿が見えない。

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