第2話

木星書店



木星書店。俺行きつけのブックカフェである。

この木星というのは、店長が木星好きというわけではなく。本名というのが驚きだ。

「いらっしゃい。」

「ども。」

いつも通り、そっけない挨拶を交わし窓際の一番奥に座る。ここのお店に人がいるところを見たことがない。狭い店内に二人の男が二人だけ。

だがそれでいい。俺がこの店を好きなのは人がいないというところなのだ。普段家にいても、

「にぃにまた本ばっか!まゆと遊んでよ〜」

「いやだって言ってるだろー」

「いいんだぁー?シャーロックホームズ全集燃やされても?」

「何して遊ぶかまゆ!今日もたくさん遊ぼうな!」

といつもなってしまうからだ。

「カプチーノ一つと、チーズケーキを一つ」

「かしこまりました。」

いつもの注文を終えて、本を開く。

ここまでで、お気付きの方も多いと思うが、俺は人との関わりが嫌いなのではなく、おちついて本を読みたいだけなのだ。

「こちらカプチーノと、チーズケーキになります。

ああ、よかったらこちらの本をお読みください。」

「ども。」

そう言われて、渡された本を手に取る。

木星書店?これって、店の名前じゃ。

「すみません、この本って?」

そう聞いた刹那、空間が歪む。

「な、なんだこれ?」

俺は当然のことに驚く。しかしこれがこれからの俺の人生を左右する出来事となった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る