100 鼎(かなえ)≪1≫
ウィキペディアから転載します。
『鼎はもともとは肉、魚、穀物を煮炊きする土器として出現したが、同時に宗廟において祖先神を祀る際にいけにえの肉を煮るために用いられたことから礼器の地位に高められ、精巧に作られた青銅器の鼎は国家の君主や大臣などの権力の象徴として用いられた』
前回の史記の講座で、この鼎と国家権力の象徴との関係について、受講者より質問がありました。私も、華流時代劇ドラマをみていますと、宮殿の前にこの鼎がずらっと並んでいるシーンがでてきますので、以前より気になっていました。
その形からみて、鼎が食物を煮炊きする鍋であることはわかります。
でも、鍋がなぜ、権力の象徴となっているのでしょう?
ウィキペディアに、『祖先神を祀る際にいけにえの肉を煮るために用いられたことから礼器の地位に高められた』とありますので、家庭用調理器具ではなく、礼器だったことがわかります。でも、食物を入れて祭壇に並べる礼器には、甕や皿や盃もあったと思います。
それが、なぜ、鍋?(笑)
先生の説明によると、青銅器を豊富に持つということには、国家として質のよい銅山を所有していることへの誇示があったとのことです。青銅は、銅に錫を混ぜて鋳造します。鋳造技術の誇示も出来ますね。
確か、王は鼎を9つ持つことができて、家臣はその位によって、個数が決まります。時代とか国によって、家臣は鋳造した鼎を王からもらうこともあり、銅のインゴットをもらって、自分で作ることもありだったとか。
でもしつこく、やはり、なぜ、鍋?(笑)
しかし、これについては、先生より明確な答えはありませんでした。それで、いつものように、あれこれと考えてみました。
想像と妄想で導き出した私の答は、「誇示するには、大きいほど見栄えがするはずだ。甕や皿や盃とちがって、鍋はいくらでも巨大化できる。それに鍋は実用的でもある。牛丸々一頭だって、ときには、人間(!)だって茹でることができる」です。
そしてもうひとつ、中国人は白髪三千丈の表現にも表れるように、誇大化することがお好きな国民性もあるのかも知れません。
鉄器が作られる前には、青銅器は貴重品であったことでしょう。それに、青銅では刀などの武器も作ったはずです。巨大な鼎を誇示するということは、「武器もたくさん持っているぞ。おれの抱えている軍隊は大人数だぞ」という誇示でもあったかもしれません。
そのように考えると、巨大な鼎をずらっと並べると、確かに権力の象徴という感じがします。
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