71 『後宮の烏』 ≪3≫
前回の≪2≫からの続きです。
③ 小さな事件の謎をいくつも解明しているうちに、大きな謎の真相へと迫る。
やはり、エンタメ小説のおもしろさの神髄は、読むにしろ書くにしろ、この③に尽きると思う。
女性向け中華ファンタジー小説も、物珍しさの時代から成熟期に入った。
絶対権力者の皇帝と後宮に囚われたたくさんの美しい妃たちと宮女、そして男性性器を切り取られた宦官。
確かにインパクトがあって興味をそそる設定だと思う。
しかし、後宮はあまりにも狭い世界なので、読者も飽きが来ているはず。
そろそろ目新しい広がりが必要だ。
白川紺子さんの『後宮の烏』もまた、初めは後宮内の小さな出来事が続くが、その謎を解くために舞台はだんだんと後宮の外へと広がっていく。
後宮から始まって市井そして他国、最後は神々の住む領域まで広がる。
その世界観をたった一度だけ読み流して、面白いとか面白くないとかの言葉で片付けてしまうのは、あまりにももったいない。
何度も読み返して、その広がっていくストーリー展開ももちろんのことながら、古代中国の後宮以外の場所の描写も学ばせてもらおう。
ところで……。
≪1≫の冒頭で、白川紺子さんの『後宮の烏』を読むのに、私は蛍光ペンを片手に持って、気になる語彙に印をつけていると書いたのだけど。
その印をつけた語彙を集めて、『中華ファンタジー語彙辞典』を作りたいと考えている。
悲しいかな、蛍光ペンで印をつけたくらいでは、その語彙たちは私の頭の中にとどまらないのだ。自分のくだらぬ
あくまでも、自分が書いている中華ファンタジー小説『白麗シリーズ』に役立てるための、自分のためだけの辞典だ。
どういう形で書いていけばいいだろうかと、現在、思案中。
ということで……。
古代中国とは?
中華ファンタジー小説とは?
と、多々な疑問を書き散らした≪私、中華ファンタジー小説をまじめに勉強します≫を、これで完結とします。
次回より、『後宮の烏』をバイブルとして、≪私はこれで中華ファンタジー小説を書きます!≫みたいな題で、中華ファンタジー小説で使われる一つ一つの語彙に焦点をあてて、より実践的にまじめに勉強するエッセイを連載します。
長くのご愛読、ありがとうございました。 (完結)
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