1話

しんしんと降る雪、ヒュルリと吹く冷たい風、近くのお寺から鳴り響く除夜の鐘。

お寺では、除夜の鐘を鳴らしに来た人々の声と、周りで屋台を出している人々の喧騒…

実に楽しそうだ。羨ましい。


そんな中、近くの神社では、参拝者がちらほらといて、屋台も無ければ、当たり前だけど、つく鐘もないから、お寺と比べると、だいぶ静かだ。

しかし、神社の社務所内は、のために、大忙しで、案外賑やかだ。

それは、神職や巫女達だけでなく、

僕達、神使しんしも、大忙しだった。

僕達は準備を着々と進めており、 今は、主任からの説明を受けている。


「今年は、例年より参拝者が増える見立てをしている。

そういう訳で、我ら神使しんしを八班に分けることになった。

一班は御守り。二班はおみくじ。三班と四班は拝殿。五班は絵馬。六班は境内の巡回。七班は狛犬との共同作業。八班は情報整理。

各自、振り分け表を見て行動をするように。

なお、当日不具合が生じた場合は、速やかに報告するように。

不明な点がある場合は、この後聞きに来てください。

それでは、解散!」


主任の一言で、僕らは一斉に散らばった。


あぁ、申し遅れました。

僕は、神使しんしになって間もない神使しんしはるかと申します。

元々人間で、天寿をまっとうして、天国へと向かう予定でしたが、紆余曲折。色々ありまして、


この度、神使しんしに選ばれました!

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