雪花の調停者

睦月 琳

第一部

序章

プロローグ

 この世にヒトならざる存在は多けれど、人にとって見えないものは、いないものと同義語。

 見えないもの、いないものは存在を否定される。


 今となっては彼らを見る者も、話す者も珍しい。

 けれどもずっと、ずっと昔。

 今よりも彼らを身近に感じることが出来る者が多くいた。

 だけどいつしか、人が彼らの存在を感じることが出来なくなった。

 けれど存在を否定されたとしても、完全にその存在が消えることは無かった。

 だからこそ、空想や御伽噺の中の話だといわれることもある。


 けれども見ることが出来る者や、見えなくてもその存在を認識したり、信じる者らにとっては、彼らは確かに現実の存在だ。

 その存在を否定する者は、時に人は到底認めることの出来ない事象に遭遇した時、それを彼らの行いとして責任転換することがある。

 その存在を認める者は、時に彼らと友好的な関係を築けるようにと奔走する。


 ――これは、それらの存在を当たり前に感じながら、人として彼らと共にあることを願う少女の、人とヒトならざる者との心を紡ぐ物語——

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