第四章

 今日は、三十日目の晩。つまり、俺が高校生になって一か月たったということであり、俺が勇者側の、魔王側の、それぞれポンコツプレイヤーの指南をし始めて、一か月たったという事でもある。

 つまり明日の朝、勇者と魔王が決着をつけるのだ。

 柚乃と詩乃、どちらがリトバデス・プロダクションの次期社長に相応しいのか、決まるのである。

『にゃははははははっ! そーたきゅん、そっちはどんな感じかにゃ?』

 戦車を駆り、フィールドで敵プレイヤーをひたすら引き殺そうとするショコラに、俺は頷きを返した。

「決まってんだろ? 順調だ」

 俺は小回りの利くバイクで、戦車に近づく敵をなぎ倒していく。

「逆にお前の方はどうなんだよ? ショコラ」

『このショコラたんを舐めないで欲しいのにゃ! ショコラ教の誓いは、地球よりも重いのにゃっ!』

 ショコラの放った砲弾が、ビルを直撃。崩れゆく建物の中から、宙に放り出されたプレイヤーたちの姿が見えた。

『役満姉妹の方は、どんな感じにゃ?』

「大丈夫。間に合った。パラメーターの設定も俺が見ているから、問題ない」

 ショコラが崩したビルが、道路に落下。巻き込まれて死亡するプレイヤーもいるが、中には生き残ったプレイヤーの姿もいる。それもすぐに、強制退場させられた。俺がバイクで近付いて、仕留めたのだ。

『にゃら、にゃーんにも、問題にゃいのにゃ! 明日の朝は、一発逆転、サヨナラ逆転満塁ホームランにゃっ!』

 ショコラの操る戦車が、また盛大に火を吹いた。彼女の言葉は、プレイしているゲームの種類も、内容も、ルールも一貫性がない。今までの麻雀縛りの会話は、一体どこに行ったのだろうか?

 しかし、問題ないという言葉だけは、深く同意せざるを得なかった。

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