甘いお留守番

キーワード『カレー』『留守番』『ちくわ』


「あ! カレールーがないから買ってくるね!? いい子で留守番しててね」


そう言って慌てて家を飛び出したのは旦那さんの功太くん。結婚してもうすぐ1年になるけれど、相変わらず5つ年下の私のことを妹のように扱うことがあって、「いい子で留守番」なんて単語が出てくるのもそういうところ。

それさえ除けば、優しくてかっこいい、家事も分担してこうして料理をしてくれる立派な旦那さん。一方で、オムライスを作ると言って卵を忘れたり、生姜焼きを作ると言って生姜を忘れたりと、どこか抜けているとこもあったり。

今回もその例に漏れず、カレールーを忘れるというお茶目(?)を発揮しているんだよね。でも、


「そこが可愛いんだよね~? ちくわ~」

『にゃぁ・・・?」


って、猫に言ってもわかんないか。


「お待たせ! お腹すいたでしょ?」


しばらく猫とじゃれ合っていたら、急いで帰ってきたらしい汗をかいた功太くんが帰ってきた。汗も拭いて、しっかりと手首まで手洗いをして、うがいして、そういうところは抜け目ないんだけどなぁ。そんな風に思いながら功太くんの姿を見ていると、


「あ、そだ」


そう言ってガサゴソとスーパーの袋を漁って、出したのはカレールーとアイスクリーム。


「カレーはゆきが辛いのダメだから甘口にしたよ! あと、ゆきの好きそうなアイスがあったから後で食べよ? 1個までだからね?」


そう言って嬉しそうに話し始める功太くん。そういうところなんだよ!? 甘いといいますか、年下扱いといいますか、、、


「そういうとこだよね?」

『・・・にゃん』


ちくわもわかってくれるみたいだ!


「何か言った?」

「な、なんでも! アイスありがとう!」


・・・まあいいや。これからも甘くしてもらっちゃえ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る