Lost Note:03 シズの話

 私がシズについて知っていること。


 コーヒーは熱いのが好き。

 目玉焼きにはソースが絶対。

 時折猫と格闘していることがある。

 チョコケーキを食べるとすごい表情になる。

 星のない夜に見上げた、満月のような音を持っている。


 そして――施設にいた頃の私と、あの子を知っている。


「よっ、今朝はよく眠れたか?」

 

「……おはよう、シズ」

 白練の光が包み込むリビング。寝ぼけ眼を擦りながら椅子に座った、私の前にココアを置いてシズが笑む。今日の朝食は目玉焼きとトースト、それに良く焼けたベーコン。おまけのヨーグルトにかかったブルーベリーソースは、数少ない私の好きな味だ。

「当ててやろうか――いい夢を見たんだろ、そんな顔してる」

「……そうね」

 悪戯っぽく笑うシズに、私は数分前まで感覚を遡らせる。


 いい夢を見ていたのは確かだった。

 どこまでも広がる草原の緑。

 まばらに咲き誇る花の眩しさ。

 焦がすほど照りつける太陽の匂い。

 視界の隅にちらつく真っ白なワンピースの裾。

 ふと目線を上にやれば少しウェーブのかかった茶色い髪。

 それは陽光を吸収して、まるで金糸のようにきらきらと輝いて。

 もう少し、あともう少しで、彼女の顔をはっきり捉えられそうなのに――


「昔の記憶を見たの」

 胸の奥で何かがきゅっと萎むような、不思議な感覚に襲われる。

 きっと『私』の記憶の断片だ――失った今でもこうして、意識が深層に沈んだ時、代わりに浮上してくる、私の知らない風景と感情。

 竜胆の花を育てるようになったのも、この泡のような記憶が弾けたからだった。

「ねぇ、シズ。あの子はワンピースを着ていたかしら」

「ワンピース? 青いパジャマじゃなくて?」

「えぇ、このお皿よりもっと白くて、少し透けた風な」

 首を傾げながら皿を凝視していたシズは、やがて「うんにゃ」と空を仰ぐと、

「わかんないなぁ――結構上等な服だよな、それ。私らの持ってた服って、死ぬほどダサいパジャマだけだったから……ちょっと見させてくれ」

 シズは身を乗り出して、私の頭にそっと手を置いた。

 見据える彼女の瞳孔が猫のように細くなり、あわせて微かな音が主張を始める。

 シズの音が、星のない夜に見上げた満月のような音なら、この音はもっと切なく寂しく聴こえる――輝き一つない新月の夜の音が、シズのサイキックの音だ。

「まだ残ってるか?」

「はっきりとは、いかないかもしれないけれど」

「いや……いくぞ」

 声が聞えるや否や、世界が暗転して、私の脳裏を今朝見た夢が高速で過ぎていく。

 走馬灯にしたって風情のなさすぎる瞬きは、シズが記憶を閲覧している証拠。


 それが『潜視万虹燈フェナキストスコープ』――触れた相手の記憶を覗くサイキック。

 あの子を探る旅路に必要不可欠な、シズだけが持つカンテラ。


「……なんだ、これ」

 時間にしてほんの数秒後、手を離してシズは零す。

 光を取り戻した視界の中で、彼女は瞠若の様相で私を見ていた。

「どうかしたの」

「どこだよ、これ。少なくとも施設じゃないぞ。タミがこんな服持ってたなんて知らないし……一体こりゃいつの記憶だ?」

「――よかった」

 そう訊かれても、それが分かる私じゃない。

 けれど、とある確信が私を思いがけず安堵させた。

「なにが?」

「だって、

 あの白いワンピースの少女がタミだと、シズが断言したからだ。

 おそらくシズにそのつもりはなかったのだろうけれど、今までタミの顔も、見た目すら思い出せなかった私にとって、それは何より重要なことだった。


 優しい音がしたタミ。

 私の一番の親友だったらしいタミ。

 記録の一つも残っていない彼女の――少なくとも記憶を、欠片でも手に入れられた。


「あぁ、そっか……そうだな、うん」

 これで見つけやすくなったな、とシズは笑った。

 その笑顔は見覚えがあって――そう、私とシズが初めて会ったとき。

 あの時も彼女は、私に同じ笑顔を向けていた。


 †

『目、覚めたんだな』

 

 のっぺりと白い天井。今にも死にそうな光を放つ蛍光灯。鼻を突く刺激臭。

 かかった霞が消えていく中で、捉えた世界はあまりにも無機質。

 知らないはずなのに見慣れた――ここが病院だと、私は気付いた。

『このまま眠りっ放しだったら、どうしようかと思ってたけど』

 身体が上手く動かせなくて、声のする方向に首だけ動かす。

 壁に凭れかかりながら、曖昧な笑顔を浮かべる少女が私を見ていた。

 彼女からはどこか聞き覚えのある音がするのに、何も思い出せない。

『その、なんというか――こういう言い方は残酷かも知れないけどさ、ナルだけでも無事ってわかってよかったよ。私もこれで、結構へこんでて』

 色、言葉、匂い、そして私だけに聴こえる音。

 脳に一気に情報が流れ込んできて、私は混乱するしかなかった。

 よく見れば包帯だらけで、痛むのか腕を押さえている少女のことも。

 私という人間の名前も、どうしてここで寝ていたのかも。

 何もかも――漂白されたように、きれいさっぱり。

『でも、あとは先生が何とかしてくれるって――』

『……あなたは誰?』

 瞬間、少女の音が大きく乱れた。

 顔からサッと血の気が引き、大きく見開いた目で私を見た。

『なん……!?』

『ごめんなさい――何も分からなくて。私の名前、ナルっていうのね。私、どうしてここにいるのかしら。あなたは何か知って……いえ、まずあなたの名前を、教えてほしい』

『ッ……!』

 気の毒なくらい音を乱す少女は、無言で私に詰め寄って乱暴に頭に触れた。

 その一瞬だけ世界が真っ白に染まったことには驚いたけれど――それだけだった。どうやら彼女にも、私と同じくサイキックがあるらしい。

 ふっと手を離した彼女は、愕然とした表情で再び壁に背を預ける。

『そんな……嘘だろ、こんなことって……』

『……どうしたの、突然』

『一部記憶の欠如――いや、そんな生易しいもんじゃない……最低限の記憶以外が、全部……どうして……』

 独り言を零す少女の様子は痛ましく、なんとなく申し訳ない気分になる。

 そもそも彼女が誰なのかは分からないけれど――聴こえる音がぐちゃぐちゃに乱れて、酷い不協和音に聴こえるくらい、混乱の極致にあることは理解した。

『その、何か悪いことをしてしまったかしら』

『私はシズ――いや、この際私のことはいい……! だけどタミだけは……!』

『……タミ?』

『あぁ、そうだよ! タミ――お前の親友だ! そんなことも忘れたのか!?』


『……ごめんなさい、その子が誰か、私は知らない』


 後日、先生という人が来て、私の今の状態を教えてくれた。

 サイキックの連続使用、その負荷による記憶喪失――生きることと、自分の最低限の知識以外の、全てが消えてしまっている、と。

『私が止めるべきだった――止められるのは、私しかいなかったのに……!』

 彼女は私の手を握りながら、何度も謝罪を繰り返していた。

 その傍でシズは、ただひたすら沈痛な面持ちを浮かべていた。


 だけど私は何も分からなかった。

 どうして先生が泣いているのかも、どうしてシズが悔しそうに顔を歪めているのかも――私にとって、そのタミという少女が何だったのかも。

 それだけは、少し寂しいような気がした。


『ねぇ、シズ。今日もタミについて教えて』


 それから一ヶ月経って、私は毎日のようにシズに訊ねた。

 身体の調整を続けながら、失った記憶を思い出す日々――どちらもはっきりとした成果を得られないまま、病院に拘束され続けている私にとって、それ以上の楽しみがなかったからだ。

 それに、答えが欲しかったのだ。

 タミという少女に想いを馳せた時――抱く寂しさという感情の答えが。

『あぁ、勿論だ』

 シズはその度に知っていることを全て教えてくれて、だから色々な話が聞けた。

 施設のこと。先生のこと。博士という存在のこと。

 タミがいつも私の手を引いてくれていたこと。プチトマトが好きだったこと。

 どれも夢物語のような話で、実感らしきものを抱いたことはなったけれど。

 けれどタミの話を聞いている時だけは――『私』が羨ましくなった。


『……先生から聞いたんだ、ナルの脳が抱える障害について』

 そんなある日のことだった――話の途中でふと、シズが切り出したのは。

 紅蓮に燃え盛る病室で椅子に座り、煌々と輝く夕日を背負いながら。

 同時に彼女の音が大きく、五月蠅いぐらい強く鳴り響き始めて、私は思わず顔を顰める。明らかな怒りの感情――シズがこんなに誰かに怒っているところを、一ヶ月の内で見たことは一回もなくて。

『明らかに人為的な処置が施されていたらしい。サイキックを使えば使うほど――ナルの脳から記憶が抜け落ちていくように』

『そうなの』

、そんな人でなしの処置だ。言われてみれば確かに、ナルが忘れっぽくなってたことがあったけど――その時の私が気付けなかったことが、今はムカついて仕方ないんだ』

 拳を強く握り締めながら、シズは呪詛のように言葉を紡ぐ。


『それより何よりムカつくのは、そんなことできる人間がこの世に一人しかいないってことだ。私達の身体構造を把握し尽くしてる――博士くらいしかいないってことだ!』


 シズの拳が強くテーブルを叩く。衝撃で本の山が崩れて、少し埃が舞う。

 さすがに仰天する私に気付かないまま、シズは砕けそうなほど歯を食い縛る。

『絶対に許さねぇ……! ナルもタミも、全部自分の都合で利用しやがって! その結果がこれか!』

『落ち着いて、シズ』

 ハッとしてシズは、「悪い」とバツが悪そうに崩れた本を元に戻した。

 火の粉のような埃が舞う病室で、彼女だけが怒りを爆発させていた。

『ねぇ、その……博士は、私やあの子の親だったの』

『……例えだけど、親みたいなもんだよ。私にとっても』

 勝手に生み出しといておかしな話だよな。

 そう吐き捨てて、深呼吸の後、彼女は黙り込んでしまった。

 話すことが無くなったのか、怒りを鎮めるためなのか――彼女に静かになられては、いよいよこの部屋がただの病室になってしまう。だけどなんと声をかけていいか分からず、私も沈黙を打ち破る術を知らないまま。


『……ナル、タミを探そう』

 いつまでそうしていただろう――再び口を開いたのは、やはりシズだった。

『あいつが今どこにいるのか、私は知らないけど……だけどこのままじゃダメだ。何も思い出せなくたって、やっぱりナルにはタミが必要なんだ。二人が永遠に離れ離れのままなんて――それじゃ本当に、二人は博士に利用されただけになる』

『でも私、あの子の顔も思い出せないのに』

 それに写真だって残っていない。

 私だって何もしなかったわけではない――先生にタミの写真をねだってみたけれど、施設にいた子供たちの写真など、先生を含め誰も持っていなかったらしい。

 この世の裏で生まれた子供達は、記録の一つだって残す意味が無かったのだ。

『音は覚えてるんだろ。それに私は覚えてる、タミの顔も声も、全部』

 サイキックが必要になった時はいつだって貸すよ。

 私をまっすぐ見据えて、シズは力強く言い放った。


『これから表で生きていくお前には、隣で歩く誰かが必要なんだ』

 

 そしてそれはタミしかいないんだ、と。

 あの子の本質を覚えている私と、あの子の情報を覚えているシズ。

 二人で探せばいつかきっと、あの子に辿り着けるかもしれない。

 

 その日からシズは、私の唯一無二の協力者になった。

 目的はただ一つ――私の記憶から消えた、タミを見つけること。


「……時間だな」


 壁にかかった時計を見て、シズは視線だけで私に促した。

 そろそろ出ないと学校に間に合わないぞ、と言いたいのは訊かずとも解る。

「ええ、そうね」

 表の世界を歩くようになって三年経った今でも、彼女は私の協力者として共に在る。

 私とシズの身体調整が終わっても、私の脳に施された処置が解決しても、まだ当初の――原初の目的を達成できていないからだ。

「今日は何時くらいに帰ってくる? 夕飯作っとくよ」

「授業が終わる時間的に、六時くらいかしら」

「了解――じゃあ、行ってらっしゃい」

 

 あの子を見つけ出して、またあの頃のように。

 用意したテーブルは、その為にちょっと大きいのだから。


「シズ」

 玄関の扉に触れ、はたと足を止めて振り返る――言っておかなければならないだろう。

 手を振りながら不思議そうな表情を浮かべたシズは、次いつ会えるのか分からない。


 ただの学生になれた私と違って、シズは抜け出せなかった。

 先生も最大限努力はしたそうだが――今も彼女は『暗幕エクリプス』で、死と隣り合わせの血生臭い仕事に従事している。殺すから殺され、殺されるから殺す、そんな仕事を。

 博士を一番恨んでいる彼女が、いちばん博士の理想に近いところにいて。

 そして博士の想定通り――帰ってこられなくなるかもしれない、兵器として。

 

 故に、伝えられるうちに伝えておかなければならないのだ。

 唯一無二の協力者に――優しくはないけれど、居心地のいい音を持つ彼女に。

 後悔なんて、もう二度としたくないから。

「あなたにはいくら感謝しても、しきれないくらいの恩がある」

「なんだよ、急に。照れるじゃん」


「だから何度だって帰ってきて――私達の家に」

 

 またね、と――少し照れ臭くて、返事を聞く前に外に出た。

 見上げる空の高さに目を細めつつ、私はもう一人に想いを馳せる。

 この家に帰ってくるはずの、もう一人に。


 ねぇ、タミ。あなたもこの空の下、遠いどこかにいるのなら。

 きっと見つけ出して、今度は私がその手を引くから。

 私には何も無くなってしまったけれど、その分いっぱい新しい思い出を。

 いつか必ず――私とタミとシズの、三人でこの世界を生きながら。


 呼応するように、彼女の音が聴こえた。

 勿論幻聴だと、解っていた。


「……はは、ビックリさせるなぁ」


 出て行ったナルの背を見送り、シズは大きな溜息を吐いた。

 らしくもない――と言えばそれまでなのだろう、さっきの彼女は。

 けれど彼女が『らしくもないこと』をした、その事実が重要なのだ。


 施設にいた頃から感情薄弱だったナルが、徐々に表の世界に馴染みつつある。


 大変喜ばしいことだ――少なくとも博士の思惑通り『暗幕エクリプス』の住人になってしまった自分と違い、最高傑作であるはずの彼女が普通の人間として生きている。皮肉なことに。

 しかし、それだけでは、きっと博士の鼻を明かせないだろう。

 ナルが表に逃れられたのは、勿論先生の力添えが大きいが――同時に博士の干渉があったからこそ、という事実がある以上、きっと。あれだけ溺愛していたナルをいとも容易く、博士が手の内から逃した理由が分からないのだから。


「それに恩なんて言わないでよ……」

 シズは知っている――ナルのサイキックと、それに伴う音を聴き取る特殊能力は確かにすごいが、それほど便利でないことを。


 彼女の聴き取る音で解るのは、感情の振れだけ。

 触れもしない感情なら――極まった演技であれば、嘘と見抜けない。


、勿体無いんだよ……!」

 

 シズがこの数年間、必死に吐き続け、誤魔化し続けた嘘。

 それは感情豊かになったナルに、言えるはずもないこと。

 

《本日のカリキュラムは全て終了しました――暗くなる前にお家に帰りましょう――》

 

 音の割れたスピーカーから鳴り響く人工の声と、郷愁を覚えさせる音楽。

 晴れた日の朱がサイクロポリス全体を包み込み、子供たちがはしゃぎながら道を行く。

 一日の終わりと、微かな空腹を感じながら、私はずっと耳を澄ましていた。


 楽しそうな音、気だるげな音、はたまた何も考えていなさそうな音――擦れ違いざまに聴こえる色々な音は、右から左へ抜けていく。

 その中でふと、どこか懐かしい音を聴いた気がして目を向けると、元気そうな女の子が、少し気弱そうな女の子の手を引っ張って走っていったのが見えた。

 二人とも楽しそうだった。空から差す朱色の所為か、リンゴのように紅い頬のまま、時に転ばないように気を遣いながら、時に置いていかれないように必死になりながら。

「……」


 彼女達の名前は知らないし、勿論誰かも知らない。

 けれど――私とあの子も、きっとあんな感じだったのではないか、と思って。

 そんな、学校を終えて家に帰ろうとしている時のことだった。


「久し振り……よね?」


「――ッ!?」

 人気のない路地に差しかかった頃、背後から急に腰辺りをポンと叩かれ、思わず私は鞄を落としそうになる。

 そこまで力強く叩かれたわけではなく、純粋に驚きのあまりに。

 有り得ないのだ、私のサイキックに引っかかることなく、私に近づける人物なんて。

 意識していたわけではない――そうでなくとも、このレーダーのような能力は常時勝手に発動しているモノなので、近付けばまず音が聴こえるはずなのに。


 なのに、

 自分自身の音以外、まったく聴こえなかった。


「あぁ、やっぱりナルなのね! 良かった! !」 

 いつぶりかくらいに覚える不安と恐怖を抱きながら、ゆっくり振り返った私に、声の主は笑顔から一転、酷く不愉快そうに顔を顰めた。

「ちょっと……何よ、その顔は。もっと嬉しそうにしなさいよ」

「あなた、誰――何者?」

 小学生くらいの体躯、複雑怪奇な編み込みの髪型、フリフリとした子供趣味の服装――路上ですれ違ったって、まず自分の知り合いと疑うことはないだろう類の少女は、不機嫌そのままの表情をまたころりと一転させて、

「ま、いいわ――マギは寛大だから許してあげる。それよりお腹空いてない? この辺のことはそんなに詳しくないから、どこかお勧めの店でもあれば教えてくれないかしら。せっかく再会できたんですもの……ここで『はいさよなら』なんて、マギは嫌よ」

 訊いてもいないことをペラペラと喋る少女である。

 けれど彼女の言葉に引っかかるモノ――マギ、という固有名詞がもし、真木や牧などの勘違いではなければ、少女の特徴とあまりに一致する人がいるのだ。

 知識として知っているその名前――シズが稀に漏らす、怒りに似た音の原因。


「もしかして、あなたが『博士』なの」


 すっと目を細めた彼女こそ、やはりそうなのだ。

 マギ=ラルヴァンダード・ホルミスダス・グシュナサフ。

 私やあの子、シズが過ごした施設の最高責任者。

 科学者にして医者にして――『暗幕エクリプス』で躍る武器商人。


「……誰かしら、余計なことを吹き込んだのは」


 そして――私から記憶を奪った、張本人。


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