第27話レオとマリー 製造と骸骨仲間とのお話

 馬を走らせて急いで家に帰ってきたレオとマリー。

「夕方には出ないと皆の夕食に間に合わなくなるわ。馬をお願い、仲間を連れてくるから。」

「分かった。よろしくね、マリー。」


 慌ただしくかけていったマリー。すぐに村にいた8人の骸骨達がレオとマリーの家に集まった。

「他の皆は、探索に出たり仕事中で来れない人もいるけれど、後で伝えるわ。」

「わかったわ。集まってくれてありがとう。昨日までの【ロウキ】と【ラト】事は伝わっているかしら。」

「うん、今日は瑠璃さんもつれてくるかと思ったけれど、カールさんと一緒なのかな。」

「そうなの、瑠璃は護身術をエルフに習うことになったのよ。エルフのコッコさんにね。」

「そうなんだ。じゃ会えるのは次回のお楽しみだね。今日はどうしたの。」


 真面目な雰囲気で皆を見渡すマリーとレオ。

「実はね、最近【ラト】【ロウキ】や辺境もなんだかきな臭い雰囲気で怪しい感じでしょう。もしもの時の為に、準備をしようと思って皆にも声をかけたの。」

 マリーの話を聞いて、慣れた様子で次々に必要そうなものを上げていく骸骨達。

「【ラト】の件では、魔力を探査できる装置や眠り薬とか使いそうだよね。」

「潜入用に姿を隠す服もいるわ。匂い消しもね。後、防御系かしら。前回の大戦のようにチームに分かれて準備をするのが良いと思う。」


 レオが皆の意見を纏めていくと、自分達の作る物を伝えた。

「じゃあ、僕は探査系の魔道具と医薬品系の薬、マリーは戦闘服への防御魔法付与と、瑠璃の服も作るんだよね。マリーは先に魔法付与をやってから瑠璃の服を作ってくれるかな。」

 頷くマリー。

「じゃ後は、それぞれ毒薬や煙玉とか担当に分かれて作成をお願いするね。

 【ロウキ】と【ラト】の詳細が分かったらまた連絡するから。後、今夜も僕達カールの所にいるから何かあったら通信で連絡してね。」

「あ、あと隠れ家を点検しないと。避難用にね。」

「それは、外にいる班に連絡しておくわ。他の村や人外達にも準備するように伝えておく。」

「ありがとう。よろしくね。」


 皆が帰ってから、マリーは作業部屋にある作成済みの服やアクセサリー等に防御や温度調節等の付与魔法をかけて行く。マリーが対象物をもってかけたい魔法をイメージすると対象物が光る。光れば魔法は成功だ。

 その後は嬉しそうに瑠璃に何の服を作るか考える。戦闘用に動きやすい服と戦闘服には見えないワンピース等の普段着を作ることにした。作業に熱が入り楽しそうに瑠璃の服を作っているマリー。


 マリーの作業部屋を除いたレオは嬉しそうなマリーを見て微笑むと自分も作業を始めた。

先に魔力探査を骸骨用とカール用に多めに作る。カールが必要な友人がいたら渡せるように。貰うだろう携帯食のお礼も兼ねている。

 その後、瑠璃の為の筋肉痛の痛み止めを多めに作っておく。訓練が始まったのなら初心者には沢山必要になる物だ。

「そうだ、これからは早朝訓練に誘ってみよう。練習メニューを見せて貰って瑠璃が使う武器にも何か魔法を付与したいな、武器は何にしたんだろう、かっこいい魔法をつけたいな。」

 楽しそうに言っているレオ。作業もはかどっている。

「よし、終わった。次は医療用だな、薬草を粉末にしてこの分量で混ぜてっと。分量が少しでもずれると効果が変わるから毎回緊張するな。集中力しないと失敗するからな。」

 気合を入れてピンっとはった空気の中調合するレオ。最後装置に入れて固めれば完成だ。レオは張り詰めた空気の中、作業を繰り返し薬を作っていた。


 マリーは戦闘服とワンピースを作り付与魔法をかける。戦闘服はカーキ色だが色のついたボタンを触ると、ボタンと同じ色に変化する機能も付けた。ワンピースは綺麗な白と明るいオレンジ色にした。

「うん、どちらも可愛くできたわ。瑠璃が喜んでくれるといいな。」

 マリーはご機嫌で部屋を片付けてレオの様子を見に行った。


 レオがまだ薬を作っていた為、軽食にサンドイッチを作り果物やサラダもカットして冷やしておく。

 家の中を片付けてもまだレオは薬を作っていた。マリーはお庭の掃除と畑や鶏の世話をしに外へ行った。

「集中力を必要とするし、量も多いから大変そう。」


 外へ行くと馬のブラッシングを友人のハンナがしてくれている。

「マリー、馬達のブラッシングはもうすぐ終わるところよ。」

「ありがとう、ハンナ。助かるわ。それにしても前回の大戦といい、同じような事が繰り返されるわね。」

 ため息をつく2人。

「そうね、関わり合うのが嫌になったのか、鬼達は今はもう魔人以外とはほとんど付き合いが無いんですって。骸骨仲間でも他種族との関わりを減らしていこうかって話も出てるらしいわよ。」

「そうなんだ、ボーンファミリーはどうするのかしら。【ラト】で色々な種族と広い範囲で交流があるわよね。私達もカールとか他種族でも友人でいたい人達がいるし。」

「難しい問題よね。私は、他種族と係らないというのはあまり良い考えだとは思えないの。世界の情報が入らなくなるのは痛いわよ。色んな種族と良い関係を保つ方が良いと思うのよ。情報を得たり友人が出来たり、色んな考え方に触れられて視野も広くなるしね。なんとか一緒に暮らしていけると良いんだけれど。」

 2人とも深刻な雰囲気だ。マリーがふと思いついたように言う。

「そういえば、異世界人同士も揉めてるわよね。瑠璃を抜かして5人しかいないけど。」

「あれは、仕方ないわよ。自分の世界に帰れない苛立ちや不安に寂しさをぶつけられるのが異世界人しかいないって感じだし。

 可哀想よね。エルフの駐屯地に転移門があるって同じ異世界人に話して話を聞いた子がエルフの駐屯地に忍びこんだ事があったじゃない。もともとその話、孤児達が言ったんだって。孤児達も酷い事を言うわよね。」

「そうだったんだ。それでエルフ達は2人とも注意だけで処罰しなかったのね。その話、他の異世界人達知っているのかしら。」

「知らないんじゃないの。だって、孤児やスラムの住人と仲間だと思っているみたいだから、あの夫婦と食堂の男性。異世界人を騙した孤児達は処罰されたのよね。

 周囲で起きている事に気が付きもしないし、自分達の頭で考えるって事をしない人達なのね。」

「そっかー、瑠璃には話しておかなくちゃ。教えてくれてありがとう。

 異世界人がスラムの住人の仲間じゃないのは当たり前よね。孤児でも浮浪者でもないんだから。他の支援者達と自分達が同じだって何で分からないんだろう。その3人。

 厄介そうな人達だから瑠璃には近づかないでほしいなあ。【ラト】に行く子はその辺り分かっているから【ラト】に行くのかもね。」

 ハンナはマリーの言葉を聞いていて笑い出した。

「マリーったら、瑠璃さんの心配しかしてない。本当に仲よしね。

 そういえば、瑠璃さんの武器は何の魔法を付与するの。レオは氷でしょう。私のお勧めは風魔法かな、うっすらと緑色になって綺麗なのよ。剣から斬撃が出るの。」

 頬骨がひくひく動くマリー。

「そう、ハンナもやっていたんだね。瑠璃は恥ずかしがって嫌がりそう。つけないと思うけれど。」

「何言ってるの、瑠璃さん弱いんだからつけた方が良いわよ。安全性を高めないと。」

「そうね、確かに安全の為には仕方ないわね。カール達に相談して考えるわ。私は強くて良かった。」


 ハンナと話しながら外の片付けもしているとレオが箱を抱えて出てきた。

「マリー、ハンナ。出来たから渡してくるね。すぐ戻るよ。」

「分かった。じゃ私は行く準備をしてくるわ。ハンナ、今度又ゆっくり話しましょう。暫くカールの所かもしれない。次は瑠璃を連れてくるわ。」

「ええ、気を付けてね。皆にもよろしく伝えて頂戴。また連絡する。」


 マリーは、レオが食べ終わった食器などを片付けると準備をする。戻ってきたレオも一緒に荷物をまとめると、馬に乗った。

「ゆっくり行っても夕食前には着きそうね。瑠璃、ばててるんじゃないかしら。」

「疲れて、寝てそうだね。」

 2人でのんびりと話しながら、散歩を楽しむように【ツリー】へと向かった。

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