第11話過去の大戦 戦後処理

「戦後、戦勝国で会議が開かれて敗戦国への対応が決められたんだ。

 戦争責任として【ロウキ】と【ラト】の王と政権の責任者達は、処刑。

先に【ラト】の者達が処刑され、【ロウキ】は人外誘拐・拷問・殺害・強姦等の犯罪の証言を取ってからの処刑された。

 後は国としての賠償金や【ロウキ】と【ラト】の側にいた国民達の戦争懲罰金。

 それに【ロウキ】のみ、誘拐された人外とその結果産まれた【ムーン】への賠償金と【ムーン】が成人するまでの補償金の支払いが義務付けられた。


 他にも【ロウキ】と【ラト】にある戦争資料館の建設と維持。

 ここは、戦争の発端からその後の戦後処理まで纏めて全てを公開したもので、人外を誘拐して人体実験や研究等をしていた事、その結果何もわからなかった事の資料がある。


「人外を解体しても何も分からなかったのだから、次は人間を解体して秘密を探ろうとする者たちがでるだろう。」って被害者が入れられていた部屋の床に書かれていた血文字も床ごと展示されているんだ。

 【ロウキ】と【ラト】の国民は全員見に行くことが義務付けられているよ。


 そして、容易に転移門を使わせない為に、人間・獣人は転移門を使う際には使用料を払ったり、予定表を提出し行った先で証明書を貰う等の決定。


 後は、【ロウキ】と【ラト】に人外の兵士の駐屯地を置き、彼らの自由な行動を認め、彼らが法を犯した時は【ツリー】の法律で裁かれる、費用は【ロウキ】と【ラト】が支払う事も決められた。」


 話してきたカールは、少し黙った後に頷いた。

「うん、大体こんな感じかな。

 駐屯地には、基本的にエルフの竜騎士がいるんだけど、たまに鬼族や骸骨や魔人とかも来て泊まっていくんだよ。お互いの交流と情報交換だね。


 まあ普通に竜騎士の友人や家族も泊まったりしてるから、瑠璃さん異世界人だし、竜騎士の推薦でもあれば泊まれるんじゃないかな。確認しておくよ。

 そうだ、友人の竜騎士も紹介しよう。何かあった時心強いからね。」


 カールの言葉を聞いて嬉しそうに声を弾ませた瑠璃。

「ありがとうございます。竜騎士ですか、会いたいですね。竜に乗ってみたいです。大きいですか?」

 目が輝いているのを見て、カールは笑いながら答える。

「馬より大きくて、皮膚も固くて頑丈。話せるから聞いてみると良いよ。でもあまり期待しない方が良いかもな。竜騎士って飛び級エリートだけだけど、彼らも最初は竜に乗せて貰えないんだよ。」

「じゃあ、無理そうですね。触ったりしたら怒るかしら。」

「分からないけど噛んだりはしないと思うよ。嫌だったら触る前に拒否しそうだし。」


 「竜騎士は駐屯している場所の警護や町や村への巡回、他の種族との交流も積極的にしているんだ。

他種族との連携訓練も兼ねて盗賊討伐があるよ。何かが起こった時対応できるようにね。

 基本的に”人”って繰り返す生き物だし。」

「戦争の前に止めないと大変ですよね。人はなかなか変わらないですから。」

 何かまた起こりそうな気がして、皆の顔がこわばってしまう。


 それに気づいて、話題を変えるようにカールが異世界人の事を話してくれる。

「そういえば、次郎さんの案で巡回ルートとかを不規則にしてるんだよ。後、違う種族の所に親子や保護者と一緒に1年位過ごすとか、種族関係なく通える学校もあったな。種族を超えた友人が沢山出来ていい案だよね。

 梅さんと楓さんの案で生活向上の為の組合もできたんだよ。細かくいくつかの班に分かれていてね。発表会やお祭り大会とか、皆で楽しめる事が増えたんだ。」


「そういえば、昔寺小屋や商人達の組合とかあったわよね。江戸時代の人のような気がする・・・・・・。

大戦ってどの位前なんですか?」

「僕がまだ5歳くらいの頃だからね。50年以上たってるよ。」

「そうなんですか、カールさんお若く見えるんですね。」


 瑠璃の言葉に微笑むカール。

「瑠璃さん、人外は年は人間達の2倍だけど、外見はかなり若く見えるんだよ。」

「だから、お肌もつやつやなんですね。」

「いや俺の場合、結構美容に気を使っているからだよ。詳しいんだ。」

 自慢気に答えるカールに皆で笑う。

 瑠璃は真面目な顔になると、皆にお礼を伝えた。

「誘拐事件や戦争を知らなかったら、不用意な発言をしてトラブルに巻き込まれていたかもしれません。聞かせていただいて、本当にありがとうございました。」

「いや、俺の話で瑠璃さんの役に立つことがあったら嬉しいよ。

明日は、竜騎士に会いに行こう。【ロウキ】や【ラト】にもいるし、知り合いが多い方が良いからね。」

「はい、ありがとうございます。」


 様子を見ていたマリーがおやつの準備を始めた。

「じゃあ、この後は貴重な異世界お菓子の時間よ。」

 マリーが明るく言ってお菓子を持ってくる。カールはお酒と軽食を持ってきた。


 「じゃあ、瑠璃さんとの出会いを祝して乾杯」

 皆で乾杯する。柑橘系の果実酒のようで、爽やかな香りが口に広がり疲れが取れる。

 早速お菓子の説明をしだすと、皆真剣に聞いている。

「これは、キャラメル塩味っていって甘じょっぱい味が最高なんですよ。こっちはおせんべにチーズが絡んでいるです、これはポテトを・・・・・・。

 これで全部かな、あんまりお菓子を持っていなかったのが残念です。」


 カールは公平になるようにお皿にお菓子を分けだした。

「いや、これだけ色んな種類のものがあるなんて素晴らしいよ。レオが味の研究をしてきっと作りだしてくれるよ。」

 瑠璃はその言葉に拍手をしてレオを見ると、レオはすでにメモを用意していた。

「勿論だよ、全力で頑張るよ。味については皆にも試食で協力してもらうからね。太っても文句は聞かないよ。」

 笑い声に包まれる中、リラックスした空気でお菓子タイムが始まった。


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