第2話レオとマリーとの出会い
気絶した瑠璃を見つめる、骸骨2人。
「あらあら、気絶しちゃったわね。レオ。」
「そうだねぇ、マリー。僕達を見て気絶したってことは異世界人かな? 異世界には異種族がいないらしいからね、恐怖でパニックになって攻撃してきたら、この子に怪我をさせちゃうかも。」
良い事を思いついたとばかりに人差し指(骨)をたてたマリー。
「縄でぐるぐる巻いちゃいましょ。この子が落ち着いたら説明して縄を解いてあげれば良いわ。」
カンコンと音がする。レオが両手で拍手しているのだ。
「そうしよう。そうだ、きっとお腹が空いているだろうから僕はご飯を作ってくるよ。」
「レオのご飯は美味しいから喜ぶわね。私はこの子が泊まってもいいように部屋の準備をしてくる。」
骸骨達は白い縄で瑠璃を荷物事ぐるぐる巻くと今のソファに置いて出て行った。
暫くすると、家の中に美味しそうな野菜スープの香りが充満する。その香りに惹かれたのだろうか、瑠璃が気が付いた。
目を見開いてを素早く周囲を見渡し自分の状態確認。そう、荷物事ぐるぐる巻きでソファに寝かされている自分の状態。
「そうだ、目の前に骸骨が現れて。私、気を失ったんだわ。」
瑠璃の声が聞こえたのか、マリーが階段を下りて話しかけてきた。
「気が付いたのね。私は骸骨族のマリーよ。
私達を見て気絶するなんて、あなたはきっとこちらに来たばかりの異世界人かしら。」
マリーが話すたびに骨が動く様子に瑠璃の視線はマリーの顔に釘付けだった。そんな様子を見てマリーは穏やかに優しく言葉を重ねていく。
「怯えないで。大丈夫よ、危害を加えるなら気絶してる間にやってるから安心していいわ。」
その言葉に納得したように瑠璃が頷いた。
「まず、私達の自己紹介をしなくっちゃね。あなたが大丈夫なら、私のパートナーのレオを呼びたいんだけれど、良いかしら? 」
「はい、大丈夫です。」
瑠璃も少し落ち着いてきたようだ。
「レオ、彼女気がついたわ。落ち着いてるし大丈夫そうよ、レオもここに来て? 」
マリーに呼ばれて骸骨がやってきた。
こちらの骸骨は水色のシャツと白いズボンをの男性服を着た骸骨。マリーよりも背丈が高く骨も大きい。洋服の色合いのせいか明るく優しそうな印象だ。
「初めまして、僕はレオ。よろしくね。」
2人に向かって瑠璃も挨拶をする。
「初めまして、瑠璃です。よろしくお願いします。街にいたのに、気がついたら森と草原の間に立っていました。」
瑠璃の話を聞いてマリーとレオが頷くとまずは瑠璃の縄を解いてくれた。3人でソファに座りレオが用意してくれた紅茶を飲んで一息つく。
「私達はこの森で暮らしている夫婦なの。この辺り一帯は大きな森になっていて、森の中心にエルフ族の国が、その下の方に私達の骸骨村があるわ。
気づいていると思うけれど、ここは瑠璃さんのいた世界とは別の世界になるの。」
少し表情が曇った様子の瑠璃。
「やっぱりそうなんですね。私の世界には骸骨さん達はいないので。それに街にいたのに森と草原の間に立っているなんてどう考えたっておかしいもの。」
落ち込んでいる様子の瑠璃を見てレオとマリーの顔の骨が動き、気の毒そうな表情になった。
「異世界から来たからと言って、私達は危害を加えたりはしないわ。とりあえず今日はご飯を食べてここに泊まるのはどうかしら。
もうご飯も出来ているし、瑠璃さんが寝ている間に部屋の準備もしてあるのよ。今から街に行くのは大変だし、この世界の基本的な事を知ってから動いた方が良いと思うの。
瑠璃さんの世界もそうだったと思うんだけれど、こちらの世界にもいい人も悪い人も色んな人がいるから。」
マリーの言葉を聞いて考えこむ瑠璃。悩んでいた様子だったが決心したのか、お礼を言いレオとマリーの申し出を受ける。
外も日が暮れてきてちょうど夕食の時間という事で食卓に着いた3人。
「今日は、パンとスープ、蒸し鶏サラダです。」
出された食事は瑠璃の世界の洋食と変わらない。異世界で普通のご飯が食べられることが分かり瑠璃の顔が喜びで溢れている。
「美味しそうです。頂きます、レオさん。」
瑠璃の弾むような声を聞いて、レオとマリーも嬉しそうに微笑んだ。
「ありがとうございます。気に入って貰えたら嬉しいな。」
料理はおいしく完食した。レオとマリーも不思議な事に、普通に食べていた。
「良かった。食後のお茶とデザートの準備をしてくるから、ちょっと待っててね。」
「レオが戻ってきたら、説明を始めるわね。」
「はい。」
レオはクッキーのようなお菓子と紅茶を持ってくるとマリーの隣に座った。そして、マリーの説明が始まる。
「では、この世界について説明していくわ。」
「はい、お願いします。」
瑠璃は真剣な顔で頷いた。
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