異世界行ったら人外と友達になった
小梅カリカリ
第1話帰り道 家ではなくて異世界についた
柊 瑠璃 小雨が降る中、夕方のタイムセールで獲得したマイバックいっぱいの戦利品を抱えて嬉しそうに歩いている。
「大量大量大満足。 野菜、おやつ、お茶。ホントにお買い得だったわね。」
家に向かっていると、いつの間にか小雨がやみ真っ白い霧が出てきた。用心してゆっくり歩いていくがあっという間に霧が濃くなり、周囲がほとんど見えなくなってしまった。
「どうしよう。霧が酷くて辺りが全然見えない。これじゃ怖くて歩けない。でもこのまま立ち止まってても仕方がないし。」
片手を前に出し、そっと足を踏み出す。その瞬間、つま先が何かを踏み滑って転んでしまった。
「ッツ。」
痛みで涙目になりながら顔を上げると、あんなに濃かった霧が消え、前には鬱蒼とした薄暗い大きな森がある。口をぽかんと開けたまま後ろを見ると見渡す限りの草原が広がっていた。
他には何もない。
荷物を地面に置き、ぶつぶつ何かを呟きながら歩き回る。
「なにこれ、なんなの、どうなってるの。私の街は、私の家はどこに行ったのよ。」
瑠璃の口から出た叫び声。それも当然の反応だろう。
「いやいや、今は落ち着かなきゃ。訳が分からないけど、とにかく人を見つければ場所が分かる。」
立ち上がると森と草原を見比べて軽く頷くと森に向かって歩き出した。
「取りあえず、木陰と食べ物がありそうな森に行こう。あっちの草原は何にもなさそうだもの。」
森に入ると丈夫そうな木の枝を拾い、真直ぐ一直線に歩いて行く瑠璃。見えない敵でも威嚇しているかのように枝を左右に振り回し、出てきた虫には殺気を飛ばす。
瑠璃の殺気に恐れをなしたように出てきた虫達は急いだ様子で逃げていった。
しばらくすると、可愛らしい1軒のログハウスがあるのを発見。家の周囲には畑や厩があり生活しているような雰囲気がある。人がいたと思ったのか、瑠璃は涙ぐみながらも笑顔で家に向かって駆け出してた。
「突然すみません、どなたかいませんかー、道に迷ってしまって。」
家の中からカタコトと物音がすると返事が来た。
「はい、今行きます。」
家の扉が開くとそこには洋服を着た骸骨達が立っていた。骸骨達と見つめ合った瑠璃、気絶したのか目を開けたまま後ろに倒れた。
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