第2話 初めての実戦!!

 ティルは幼少の頃から、ドラゴンシティー最強の戦士・カルタに剣術を習っていた。カルタは既に60才近い年齢であったが、顔や身体つきから一種の迫力を感じられた。


そして、30年前のドラゴンシティーも巻き込んだ、光と闇の全面戦争を経験している。



 カルタは斬鉄流剣術の使い手であったが、自分に合うようにアレンジをしていた為、ティルには剣術の基本だけを教えていた。唯一、ティルの特徴に合わせて伝えたことは、2つだけであった。


①相手の攻撃を剣で受けないこと。


②ステップで相手を翻弄し、受けずにカウンターを狙うこと。


この2点は、ティルの身体の大きさ、力、スピード、バネを考えた戦略であった。何よりも、ティルはタイミングを取る当て勘は天性のものを持っていた。



 死霊がティルにジリジリと近づいた。風が吹き、ティルの青い髪がなびいた。


間合いが近くなると、ティルはその場でトントントンとステップを取り始める。死霊は一気に間合いを詰め、剣を振り上げた。そのタイミングを見計らい、ティルは死霊の懐に素早く飛び込んだ。瞬時に十字に2撃入れた。死霊は後方に音を立てて崩れた。



 斬撃を入れた瞬間、思った以上の重みと負担が両腕にかかった。


『腕で斬り込むな』


先生(カルタ)の言葉を思い出した。既に両手に力が入りにくくなっている。これでは複数の相手と一度に斬り結ぶことができない。自分の剣術の稚拙さを思い知った。



「うわ~。お姉ちゃん凄い!!」


男の子が叫ぶ。ティルは母子の方を向き、剣を鞘に入れ微笑んだ。


「ありがとうございます」


母親が涙を流し、お礼を言う。その瞬間、後方から音がした。ティルの背中に冷たい物が走った。



 ティルが後ろを振り向くと、死霊は這いつくばり、立ち上がろうとしている。胸の十字の傷からは黒い煙が出て回復しようとしていた。そして、すぐ向こう側から、もう2体の死霊が近づいてきていた。ティルの掌が汗ばんでくるのが分かった。


「早くここから離れなさい!!」


ティルは激しく母子に言いながら再び、鞘から、もう一度、剣を抜いた。


余裕などない。



 しかし、妃から受け継ぐ血のせいだろうか、胸の奥から込み上げてくるものがあった。ティルはニッ~と笑った。可憐な少女の顔が瞬間、歪む。好戦的である自分を感じた。


右手に柄を持ち、左掌を剣先に当てた。


『ライト』


ティルは、光属性初級攻撃魔法を静かに唱えた。その瞬間、剣が光に包まれた。



 これはカルタが教えたことには無い。


『身体の真ん中の軸で斬る!!』


ティルは、先生(カルタ)の言葉を何度も反芻した。




<登場人物プロフィール>

レベル:1

名前:ティル・スカイ 

種族:人間

性別:女性

年齢:13才

身長:158センチ

体重:45キロ

職業:スカイドラゴンシティの姫

才ある職業:魔法剣士・策士

HP:30

MP:8

力:10

スピード:21

防御力:18

魔力:4

使える魔法:ライト(光属性攻撃魔法初級)

スキル:カウンター・2連撃・素早いステップ

装備品:スカイドラゴンの皮で作った服、短めの剣

アイテム:なし

備考:幼少の頃にある封印魔法をかけられている。その代償として涙を流すことができない。


※上記の記述は経験や環境によって後天的に変化します。

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