第17骨「美幼女召喚!死霊使い!」
「余を、再び目覚めさせたのは主か?」
どこからどうみても幼女、ミイラから生まれたのは幼女、紛れもない幼女!
「砂漠で幼女見つけることとかある? 隕石とか雷に当たる確率より低いんじゃない?ってか、マスターってハーレム作る才能あるんじゃない?」
ハーレムを作る才能よりも死霊使いの才能が欲しかったと嘆く俺に対して、生まれたての幼女が
「主、余の眷属か?」
いや、むしろあなたが俺の眷属なんですが。幼女はどうやら自分の置かれている状況が分かっていないらしい。ここはどちらが上なのかはっきりさせる必要がありそうだ……
「そうそう、眷属だよ。靴でも足でもパンツでもこのお兄さんは舐めるからね。いつでも気軽に使ってね」
気軽に使うって、俺は全自動下腹部洗浄機なんかじゃないぞ。好き勝手言い放題の咲愛を遮って、俺は問うた。
「で、あなたは何者?」
一人称が余の時点で、きっと高貴な身分の方であることはある程度分かっていたので、目の前の幼女の口からどんな名前が出てくるのか気になった。
「ピソーク・ザント・アレーナ・アイティオコピン十七世を知らぬとは……無知と言うには甚だ無理がある……」
「え? あいつぴょんぴょんちゃんだって?」
「ピソーク・ザント・アレーナ・アイティオコピン十七世、王家の末裔だ。本当に主は知らぬか?」
この幼女、昔は有名な人物だったらしく自分の名前を知らないことに心底驚いているようだった。
「まあ、大方は察していたが、やはりこの世界は余のいた世界ではないのだな……」」
俺たちの反応を見てピソーク・ザント・アレーナ・アイティオコピン十七世ちゃんは落胆した表情を見せた。どうやら自分の住む時代と、俺たちとの乖離を理解していたようだった。
「余はあの戦いに敗れて力尽きたと言うことだな。その
はははと乾いた笑いを見せる幼女。相当なショックだったのだろう、しばらく俯いたまま固まってしまった。
「無理矢理起こしちまったようですまん。だが、今日からあんたは俺の眷属だ。だから今日からはマスターである俺の言うことを聞いてもらう」
「余が主の眷属……」
それが余の宿命、それが
「ねえ、ついでに語尾にのじゃのかつける様に命令できないの? マスター」
咲愛が悪ふざけの提案をしてきた。いくら一度亡くなっているといっても元は王族、高貴なご身分の方だぞ。俺にそんな命令ができるわけがない。良心が痛むってやつだぜ、俺はそんな無慈悲なことなんて……
「ピザピンちゃん、今から君は語尾に『のじゃ!』をつけること、いいね。これはマスターからの命令だ」
「分かったのじゃ!」
自分の意思に反して口が勝手に動いてしまったことに動揺を隠せないピザピンちゃん。ああこれは完全に権力の乱用ってやつだ。でもまあ、幼女が固い言葉を使うことに対して違和感があった俺はしばらくこれでやってみたい気持ちが強かった。
「いや、これは……違うのじゃ! 余は普通に話がしたいのじゃ!」
「あ~これこの
勝手にキャラクター人気投票を行わないで欲しいし、勝手に自分を一位にするな。まあ、可愛いと言うことだけは莉愛に同意だが。
「まあ、ミイラも拾ったことだし、さっさと目的地まで行くか」
「ピザピンちゃん!
俺は眷属であるピザピンちゃんに、砂漠でもすんなり移動できるようにする魔法をかけるように命令した。
「余はそのようなことを言われてもそのようなものは知らないのじゃ!」
――
俺たちは、あっという間に砂の上をするすると滑って移動ができるようになった。
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