第16骨「やってみせるもん!死霊使い!」
「いやさ、マスター、やっぱりさ、あたしか莉愛が生きてたらサイキョーじゃん? 魔法使い放題じゃん!」
「まあ、ほんと二人がいてくれて良かったよ……ありがとな、咲愛、莉愛……」
「そういう時は、サキアリアって言ってよ!」
その芸名、ネタじゃなかったのか。
「水分足りずにミイラになったりして……」
莉愛がこの発言をし終わった後、俺たちは偶然にもそのミイラを見つけてしまう。
鉛筆で描いたような二本の細い目、深く
苦しみながら死んだのだろうか、一縷の望みに最後まで
「ちょっと、ちょっと、ちょっと! これミイラ! 私、初めて見たわ……」
不吉なものを見つけてしまったと、少し目を伏せながら眺める莉愛。止まらない死の連鎖、ツタンカーメンの呪いなんかを考えると、なるべく関わるべきではないのはたしかだ。
「いや干物かもしれないよ。パサパサだし……」
咲愛は相変わらずの自由奔放な言動である。パサパサだから干物って安直すぎるし、明らかに人の形をしているんだから、干物な訳がない。
俺は、いやそれミイラさんに失礼だろ、なんて言う訳の分からないフォローを入れたところで、気が付いてしまった。
「これ、俺、やれる! 生き返る、ミイラ、蘇る!」
なーにカタコトになって言ってんのよと莉愛に冷たい目で見られたが、突然のことで少し興奮している自分がいた。骨の次はミイラを蘇生させることができるなんて!
「ま、どーせ失敗するからみといてみ、莉愛」
「ま、そうね。マスターは私たち以外蘇生できたことはない。まったく程度の低い
度重なる失敗で、すっかり二人は俺の実力を過小評価していた。マスターなのに信用ないなんて不甲斐ない……
「よし! 見てろ! 父さん今度こそ成功させてやるからな~」
「あ、これ無理なやつだ」
「そもそも、父さんじゃないし、マスターだし」
完全に冷めた態度の二人、まったく俺のことを信じていない目だ。
いいもん! 俺、やってみせるもん!
「腐敗し、白骨化した
「なんか、セリフ変わってない?」
「あー、これオリジナリティ出しちゃったやつだ。ダメだよ~、初心者の死霊使いなんだから基本からきっちりやらないと~」
もう完全にマスターを
「おおッ! 何やらいつもより黒い霧多めじゃないですか」
「これはもしかしちゃったら、もしかしちゃうかもですね~」
俺の降霊術は今のところ上手く機能しているようだったが、ここのところ二回連続で、ただの骨を生産しているので一切気は抜けない。
「頼む! 成功してくれ!」
「ま~たマスター頼んじゃってるよ」
「まあ頼むの上手い、ライですから」
一念天に通ずと言う言葉があるように、強い信念があればその思いは天に通じて成就するんだ! ただの前時代的な根性論だけど。
――あっ!
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