第14話

【表現】『』は口に出さぬ言葉


 人の英雄、その一人は、その身を犠牲に、恋人を守った。


 人間社会で周知される出来事は、恋人を、戦友を、失った少女に同情した。


 その少女は、恋人を裏切った罪の意識に苛まれ、自虐した末に英雄である己が使命さえも、蔑ろにしていた。


 少女を励ます神官は、「英雄を欲した淫魔が、王子を惑わし、貴女の弱みに付け入った」と語り、「貴女を裏切らせた淫魔こそ、悪で有り、淫魔の手から彼を救えるのは、愛し合った貴女だけです」と告げる。


 他に理由を求め、己が罪から目を背けたかった少女は、神官の甘言を聞き、淫魔に責任を擦り付けた。


 淫魔を殺し、彼を解放する事が罪滅ぼし、と考える少女は裏切りが発覚した時、彼と共にいた獣耳の女に殺意を向ける。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る