第12話
【表現】『』は口に出さぬ言葉
〝農作を享受してい欲しい〟と要求し、困惑されたが〝略奪しない為に〟という大義は家畜だった人々に受け入れられた。
全員が魔界に留まる意味はなく、可能な限り人界へ帰してほしい、と対価を求められた魔女は問題ないと判断し、応じた。
『無事に返す為に護衛は必要だから』と少年を付き添わせたら、少年から「一緒に来い」と要求された魔女は助言(城で隠れていろ)を聞かず迷惑をかけた事を思い出した。
鼠族で族同士の戦いを初体験した魔女は、無知ゆえに過信し、少年に重荷を負わせた自分の愚かさを反省している。
古びれた居城の中には、番兵など存在せず、農作や城の管理を行うゴブリン数体と料理長のオーク一体が居る程度で、数分で陥落しかねない。
今までは魔界の底辺だったが、鼠族の長に勝った事で〝序列を高める意思〟が有ると他の族から判断されたなら、警戒する族長が居るかもしれない。
序列が僅かに上がった魔女は今まで通り狙われ続けない、とは言い切れず、貴重な戦力を長から遠ざける危険性を説かれ、「側にいないと守れない」と真剣に言われ、屈した魔女は『魅了するはずだったのに……』などと悔しい思いを抱いた。
狼な耳を覆う背の高い帽子を被り長く垂れ下がったマントを羽織り、狼の耳と尻尾を隠そうと試みた魔女だったが不自然な服装は異様な雰囲気を纏っていた。
少年と共に人里の近くまで解放した人々を送り届けた魔女は「お礼をしたい」と告げる村民の厚意をありがたく受け入れ、村の近くで待つことにした。
「断るべきだ」と止める少年を抑え、「人間との友好的な交流は必要だ」と断言して説得した。
「魔族を敵視する人間社会と安易に関わることは危険だ」と説得されたが「守ってくれるんでしょ」と言い返した魔女は「長居はするな」と不満げに妥協した少年の様子が微笑ましかった。
長居すれば危害を加えられる機会が増える、と危惧している少年の気持ちを理解はしつつも人間を信じたい魔女は「好意を無碍にはしたくない」と理解を求めた。
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