第5話

【表現】『』は口に出さぬ言葉


 魔族まぞく戦闘力せんとうりょくで序列を成す社会。


 そんな社会で頂に至った魔物まものが父を持つ魔女まじょは人間から生まれた半魔はんまである。


 〝人と獣(3/7)が混ざった様な魔族の父〟と〝美しい人間の女性〟から生まれた魔女は狼の様な耳と尻尾が生えた人間よりの女の子だった。


 人間よりの女の子は魔族から獣人じゅうじんと呼ばれ、侮辱されている。(異名に魔が入らない)


 母は魔族の襲撃を恐れた人間が魔王へ差し出した供物だった。


 魔族で一番の戦闘力が有っても魅了された父は母に逆らえず人間を襲わなくなった。


 変わり果てた父に愛想をつかした魔物たちが母を人質に父の命を絶った。


 生き残った一人娘は強く優しい父を継ぐため、魔王に成ると決意する。


 魔族と人間の半魔で戦闘力が高くない魔女は人間の血を侮辱された末に生かされている。


 殺さなければ成らぬ程の脅威ではない――と。


 時が経ち、魔界で瀕死な人間の英雄を拾った魔女は幼い頃、母から何度も聞かされた父を篭絡した話を真似て人間の英雄を篭絡しようと考えた。※思い付き


 篭絡する為にもう一人の英雄を調べていた魔女は彼の思い人が寝取られる様子を見せて生まれた喪失感を自分で埋めようと試みた。※王子の寝取りには加担せず利用しただけ


 目論見通り怒る少年を誘惑して情欲を掻き立てた魔女は行為に至れたが少年に行為の主導権を握られた。


 行為を終えた魔女は疲れ果て早々に眠ってしまった。


 目が覚めて寝室を見回したが少年の姿は無く『逃げられた!?』と不安を抱いて城中を探し回った。


 細長い食卓が置かれているリビングの扉を勢いよく開けた魔女はゴブリンから脅えられて居心地が悪そうに椅子へ静かに座っている少年を見つけた。

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