第19話
ここは何処だ。
今日はついてない。
あいつ等もミスしやがるし、俺が居なきゃ何もできないくせに。
っていうか車の運転て案外ちょろいもんなんだな。
あれっどういう事だ。
俺っ、アクセルふかしてねーのに!
勝手にスピードが上がる。
しかも何か眠くなってきやがった。
青年が眠った後に見た景色は目の前にある大きな石だった。
いつもと視界が全然違う事に青年は焦っていた。
目の前のもの何もかもが大きく匂いも耐えられない嫌な臭いが広がっている。
青年は自分の手元を見ると黒く糸のような線がいっぱい生えている。
「罪車は自分の罪を手っ取り早く償う所。今、奴は弱者の立場になってその思いを体験しているだろうよ。まあそんなに大きな罪でもないから長い時間じゃねーけどな。だが、反省するまで続くから無限地獄の様だわな」
そう言った陽は口笛を吹き罪車を自分の前まで引き寄せた。
運転席で眠っている青年を後ろ座席に運び陽は運転席に豊とヌイは助手席に青年の横には境が青年の反対端には未羅その膝にナリが座った。
「じゃー闇の裁判が行われている裁判所に急ぐかな」
陽がそう告げ車を出発させた時、豊の頭の中に青年の悲痛の声が響いた。
なんだよココ。
なんで俺がこんな目に合うんだよ。
俺が何か悪いことしたか?
そう豊の頭の中で青年の声が響いた。
苦しそうに頭を抱える豊を見て陽が眉を寄せる。
「おい、豊、引っ張られるんじゃねーぞ、お前のいまいち半人前な所は他人に甘過ぎる所だ。ココに降りて厳しい経験をして成長したかと思ったらちっとも変ってねーな」
陽の言葉に未羅が後ろ座席から陽の襟元を引っ張る。
「ヤスさん、今は陽さんだか何だか知らないけど昔のヤスさんはもっと優しかった。なんか人が変わったみたい」
陽の首元を放した未羅は豊を心配そうに見つめる。
「もう、めんどくせーな、ヌイ、もうお灸はこんくれーでいーわ。リイ坊と一緒にそいつ連れ戻しに行ってくれよ。リイ坊だけだと戻って来れなくなる」
陽は少し優しいヤスの顔に戻っていたが気が付いたのはヌイだけだった。
『了解しました。と言うか豊様は既にあちらに居ちゃってますので急ぎますね』
そう言うと眠っている豊の膝の上でヌイも目を閉じた。
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