第18話
「よし、皆降りろ」
陽の合図で路地裏の大きなゴミ箱の後ろに隠れた。
5人ぐらいの青年が揉めており、その内の一人に豊は見覚えがあった。
あの真ん中にいる青年、闇さんを迎えに行った時、見た事がある少年の面影がある。
それはまだ豊が闇を頼っていた時の事。
青年、あの時は少年だったが自宅内の自分のペットであろう犬を虐めていて、止めたくても庭に入れず悔しい思いをしていた豊の前をカラスが飛んできた。
そのカラスが少年の頭の上に糞をして、泣いてその少年は家の中に入っていった。
なんかあの頃より顔色がどす黒くなった気がする。
青年達は十人ぐらいで争っていて、別のグループに追われているようで走って逃げているようだった。
豊達は巻き込まれないように隠れていた。
青年は何とか逃れようと自分のグループの四人も振り切り陽が路肩に停車していた罪車に逃げる様に一人、乗り込んだ。
無免許であったのであろう青年は車を運転し始めた。しかし、車は全然青年のハンドル通りに動かない。
「陽さん、車乗っ取られちゃったけど」
心配そうにのぞき込む豊に陽はまた嫌な笑みを浮かべる。
「大丈夫、罪車は普通の人間じゃ運転不可能だから、そういう場合は罪車自身が運転操作をするんだ。あの罪車は引退した罪車だけど一番古い型でかなりえげつないから、どんな夢を見てるんだろうね」
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