7話:おじさんと聖都
※ ※ ※ ※ ※
「見えてきたぞぃ!アレ、だよネ?」
「――はい、たぶん……」
自分で羽ばたくのは面倒なので、自動飛行モードで、
到着、とはいっても、見えてきらその街、いや、
なにせ、その見た目、やけにおどろどろしい。
聖都というより、
空を飛んまま街中に降りるのは色々と問題がありそうなので、その城塞都市から少し離れた人目につきにくい場所に着地。
そもそも、この“うきうきデカパイ大魔王モード”の姿のまま、街中に入ろうとしていること
しばらくは、この姿のままがいいだろう、たぶん。
さて――
それにしても、やたらと
街をぐるりと囲む壁はごつごつとし、
城壁の手前には堀が
巨大な城門は
おそらく街そのものは丘のような高台を中心にして広がっているのだろう。壁の向こうは段々と高くなり、
街の上空には、
どう
「えーと……ニャルロッテ。聖都で間違いないんだよネ、アレ?」
「……はい、場所は、――合ってます」
「なんと
「そ、そうですね……巨大な
「――取り敢えず、城門まで行ってみる?」
「……はい」
城門までは舗装された大きな道が続いている。
大きな道にも関わらず、人の
そもそも、この世界の街ってのを見たことがないんで、今、目の前に広がっているその光景が普通なのか不自然なのかさえ、判断がつかない。
とは云え、ニャルロッテの様子を見る限り、やはりそれが異様な光景に映っているであろうことが
城門まで近付くと、ますますその異様さがハッキリする。
併設された
その下には鉄板がぶら下げており、文字が刻まれている。
なんて書いてあるのかサッパリ分からなかったので、攻略本で調べる。
スマホの翻訳機能を使えばOKらしいので、タップ。
すると――
<ソドムへの立ち入りを希望する者は一人当たり金貨1枚を喜んで差し出すこと。金を払えぬ者で立ち入りを望むのであれば、我らの大領主様への忠誠を
――うーん、あやしい。
だけど、まぁ、金さえ払えば街に入れるってんだから、そこまで理不尽ってわけでもないのかな?
「ニャルロッテ、お金ある?金貨2枚」
「すみません、パカちゃんさま。路銀は野盗に奪われてしまって持ち合わせがありません。それに――」
「それに?」
「金貨1枚ともなれば、半年
あらら。
そーいや、野盗どもはどっかに吹っ飛ばしちまったんで、彼女の物を盗んでいたって知ってても、どうにもならんかったな~。
ついでに、金貨1枚って、そんな高額だったのか。
攻略本に載ってたアイテムとかって、大体金貨で値段表示してたから大した額じゃないのかと思ってた。
もっとも、
ともすれば、お金もいっぱいあるはず。
アレ?
所持金――『
ウソ……だろ?
あっ!このアプリは?――マジカルPay。マジカルコード決済アプリ。これで支払える!
――ない。
見張窓周辺にそれらしいものは1つもない。
む~、現金払いオンリーか、くそうくそう。
なにか打開策を。
見たことも会ったこともない大領主とやらに忠誠誓うとか、そんなのヤダ!
そもそも、
それになんとなく、忠誠を誓う、みたいな抽象的なアクションの方がヤバイ気がする。
ニャルロッテを
攻略本――
なにか載ってないか?打開策。どうすればいい?
おっ!?
こんな便利な魔法、あるのか!
有機物、無機物問わず、一定時間、貨幣と思い込ませるロクでもない魔術。
よし、コレを使う。
そこいらの石を2つ摘まみ上げ、定型の魔法を投じる……が、特に変化は見られない。
これ、大丈夫か?かかってんの?
形状変化をもたらす魔術の
ま、試してみるか。
石ころを見張窓の鉄格子の間に滑り込ませる。
そして、入れ、とだけ声が響く。
どうやら、幻術はうまく働いていたようだ。
ともかく、バレないうちに中へ。
さあ、入ろう、聖都へ――
―――――
そこは、絵に描いたような地獄、だった。
皮膚に直接
生々しく原始的な暴力と横暴さがナチュラルに浸透している街。一言、
おそらく、地球上で例えるのであれば中世の早い時期、そんな感じだろうか?
古代と呼ぶには文化的で、近世と呼ぶには無法過ぎる。とは云え、歴史の知識があるわけではないので、よく分からない。
しかし、どちらにしても野蛮。ほぼ確実に、俺の、いや、
「こんな
「ここで間違いないはずです……」
「なんとなく長居するのはヤバイ気がするぞぃ」
「……そうですね、早く大司教様に会いに行きましょう」
取り敢えず、大司教の居るという大聖堂を目指すことになった。
どうにも嫌な予感がするんだが、まさか、な?
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