.

いつも通り賑やか。


だけど空気が違う。

視線があっちへこっちへとウロウロして気が散る。



「お、空いてるラッキー。」



優希が駆け足でシューティングゲームの台につくと手招きした。


ピストル型のコントローラーを構えたりと落ち着きがない。



「100円入れるな。」


「おー。」



ピストルを持ち上げると、

軽くて思わず驚いた。


軽いし、不安定。



「よッし!コレだけは負けねーからな!」



隣りではしゃぐ優希を横目に、手に血が巡るのを感じた。


ドクン、ドクン。


久々に感じる高揚。

指先まで力が籠る。


そっと目を瞑り、

カウントダウンが1を切ると思い切り足に力を入れた。




ドンッ!



1匹、2匹。


ゾンビを映る限り倒す。

動きが遅い。

パターンがある。


急所の頭を狙えば1発。



「…。」



決して上手くなかったのにどうして、コツが分かるんだ。


的確に、1弾1弾大事に。

動きが遅いゾンビなら、

余裕で…………。


……?


動きが遅いって、何と比べて?

俺はピストルなんて持ったことはもちろんない。


ましてや、打ったことなんて……。



そんなことはどうでもいいか。

今は目の前の化け物をぶっ倒す、それだけ。



ドンッ、ドンッ。


無心で俺は打ち続けた。

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ヨルの輪廻 ニシムラ圭 @rokuyuyu

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