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佐藤さんはドアの前に立つ俺の耳をキュッと握るように触れた。



「どうか、ご無事で。」


「…。」


「あ、そうそう。

記憶が戻れば悪夢は見ることはなくなります。」


「へぇ。」




記憶、戻んのかな、俺。

ていうか、俺…本当に石川ナントカっていう人なんだろうか。




「じゃ、じゃあ俺はこれで。

お世話になりました。」


「はい。」



部屋を出ると、

日は少し傾いていた。


俺が襲われたのが昼間だったから、かなりお邪魔してたのか。


核心的な話はなかったけれど、かなりショッキングというか、非現実的な話だった。




…まぁ、また会うことは無いからすぐ忘れるだろう。






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.


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.

.

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「ユキ、アイツ戻って来ないんじゃないか?」


「大丈夫だよ。

すぐ戻ってくることになる。」


「だから、前世がどうとか回りくどい話してたわけね。」


「彼が自分の意思で戻って来た時にちゃんと話すつもりだから。」


「…あぁっそ。」

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