第二十一話 ポチとポチの家族 2
●第二十一話 ポチとポチの家族 2
ねえ、ゾウ太郎くん
「なぁに?」
ポチくんに会いたいけど、今いるかな?
「うん! 今部屋にいるよ! ポチ! ポチー!」
ゾウ太郎くんは玄関からポチを呼びました。
「兄ちゃん。どうしたの?」
イエイヌのポチくんが出てきました。
シロさん、ハナちゃんの面影があります。
「おほん……あなたがポチですね」
「……君は?」
ハナちゃんはしっかりとポチくんを見据えて言いました。
「ハナです。はじめましてです。私はあなたの血のつながった兄妹です」
その言葉にポチくんは困惑した面持ちです。
「……ねえ。どういうこと?」
ハナちゃんは母であるシロさんの過去、離れ離れになってしまった経緯を伝えました。
「お母さんね、ポチに会いたがってるの。会って話をしてほしいの!」
「……まあ、話はわかったけど」
歯切れ悪そうにポチは言いました。
「いきなり言われてもなんかヤダ。会う気になれない」
「えぇ!」
ポチくんから断られたことにハナちゃんはびっくりしました。
「じゃあいつなら会う気になるの?!」
「いつって……」
「一週間後ぐらい?」
「知らない! よくわかんない!」
まあまあ、ハナちゃん落ち着いて。心の準備は誰だって必要だから
旦那さんはハナちゃんをなだめました。
「……はーい」
二人のご両親とお話できるかな?
「ママは買い物に出たよ! ママが帰ってくるまで僕の部屋で遊ぼう!」
ゾウ太郎くんの提案の通り、ゾウ太郎くんの部屋で待つことになりました。
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ゾウ太郎くんとポチくんの部屋
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「うわ! 散らかってる! 前のゾウ太郎くんの部屋っぽい!」
「うん! ポチと一緒の部屋なんだ!」
布団が二人分。学習机も二人分。
言葉の通り、二人とも同じ部屋で暮らしているようです。
ただし、性格が如実に現れているのか、片方の机はおもちゃやら何やらで埋まっていて、もう片方はきちんと整頓され、辞書や教科書など勉強した形跡があります。
なんだか二人の性格が現れてるね
「えーだって片付けるのめんどくさいもん!」
「兄ちゃんいつもそう言ってるね」
どうやら片付いてない方はゾウ太郎くんが原因そうです。
そして、この人数で入るととても狭いです。
「ほら兄ちゃん。床片付けてよ」
「めーんどくさーい。ポチ手伝って」
「あーもう」
「僕も片付ける!」
「私も!」
みんなで手伝いました。
「ねえ、ポチって勉強してるのですか?」
片付け中、ハナちゃんが尋ねました。
「うん! ポチはヒトに負けないくらいすっごい頭いいんだよ!」
「「ええっ!!」」
ハナちゃんとカミ太くんはものすごく衝撃を受けてます。
「いやあ、ゾウ太郎くん。ヒトと同じ位は盛りすぎだって。」
「それがね……。算数も漢字の書き取りも80点以上だったの」
「まじで!?」
「ほんとですか!?」
小学生のカミ太くんとハナちゃんは、その成績に戦慄しています。
そして、小学生ではない旦那さんとハト丸は何に驚いてるのかさっぱりわかりません。
そ、そんなに難しいの……?
「いや簡単、みんな勉強してないだけだよ」
ポチくんは当然のような表情です。
旦那さんとハト丸の疑問にカミ太くんが答えてくれました。
「僕の学校だとこんな感じだよ」
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回想 カミ太くん・ハナちゃんの小学校
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授業が始まる前、ヒトの先生が教壇に立ちました。
「さて、これから授業を始める。それではみんな今日も張り切って勉強しましょう。
――あ、いつもどおり動物たちは自由にしててください。授業を聞くも、外で遊ぶも構いません。……まあ、国語と算数ぐらいは覚えたほうが便利ですよ」
「「わーい!!」」
教室にいた動物たちは喜んで遊びに出かけました。
「おほん。それでは残った諸君は――
勉強! 勉強!! 勉強だぁあああ!!!」
「ヒトだけ不平等だ!」
「クソ教師!」
先生は張り切って残った生徒たちに授業を行うのでした。
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回想 終
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旦那さんはあまりの授業風景に絶句しました。
いや、やべぇだろ。
「僕の学校だとこんな感じだよ」
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回想 ゾウ太郎くん・ポチくんの小学校
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ミーヤキャットのミーヤ先生が教壇に立ちました。
「さて、授業を始めます。動物もヒトも関係なしにビシバシ勉強しましょう! その前に先日のテストを返します」
ミーヤ先生はゾウ太郎くんにテスト用紙を渡しました。
「ゾウ太郎くんは30点です」
「わーい!」
「あのゾウ太郎くんが30点も……! 大成長です! うぅ! 先生とっても嬉しい……!」
ミーヤ先生は泣いて喜んでます。
「さて、今日の授業は――」
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回想 終
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「へー不思議な学校ですね」
「てかゾウ太郎くん、そんな頭良くなってたんだ」
「えへへ!」
……ハト丸は絶対にこの学校に入れよう。
「えー、楽な方がいい!」
よくないよ!
珍しく喧嘩する親子でした。
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