少女・Second

 私が一人の女の子と一つになって一週間がたった。

 その女の子は、白百合アイリという女の子だった。私は、彼女の一部を借りて、彼女を通して外の世界を知覚し、彼女の力によって仮の姿で外の世界に出歩くことができた。

 しかし、彼女は、私の名を知らなかった。

 あたりまえだ。私自身、私の名前を知らないのだから。

 

 活発そうで、勝気な少女。

 彼女は私を見て喜んだ。

 何故だろうか?

 その理由をきいてみた。

 何故なら、私がおかげで、彼女はあるところに行けるからだった。

 霊媒者育成学園。《Spirt-0一》。

 そこに行くのが、彼女の夢だったらしい。

 何故? 私は聞いてみた。

 彼女は言った。「だって、おもしろそうじゃない」と。

 

 坂の上。私達はそこの校門をくぐろうとしていた。

 その時出会った、一人の少年。

 遅刻してきたのだろう。転入手続きのために学校に来ていた私達に会った。

 私は、何かを感じた。

 その少年が、何か懐かしかった。私は、彼に会ったことがあるような気がした。この世界に来て、一番のぬくもりを彼から感じた。

 だけど、それがなにかわからなかった。

 でも、彼を見ると、気のせいか鼓動が早くなる気がした。


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