第26話◆慶の独白(12)2日目の始まり

アラームの目覚ましをかけておいて良かった。

時刻は6時半。あれから1時間くらい眠ってたようだ。


7時から10時が朝食バイキングの時間だから、余裕を持って7時半少し前くらいに、ざっと身の回りを整えてから着替えていけばいいだろう。


このプランのチェックアウト12時というのは慌ただしくなくて正解だったな。


起きてから、とりあえず下着とパジャマを急いで身につけてから、顔洗って、歯磨きして。


詩穂さんは、簡単に化粧?して、薄く口紅だけを塗っている。


心配そうにに

「これでも大丈夫かな?」

と聞く詩穂さん。

「うんうん、綺麗だよ」

答える僕。


だって本当に化粧なんてしなくても、充分、なんていうかさ、すごく、綺麗だから。


僕は女の人の化粧には詳しくないけど、どんなに綺麗に化粧している美人でも表情のない人は苦手。


詩穂さんの好奇心いっぱいのイタズラっ子みたいな顔、ビックリしたり、笑ったりの表情の豊かさ。赤くなると浮き上がるソバカスだって可愛いよ。


さて、そろそろ行こうか、と貴重品だけを持ってから、部屋からでてエレベーターでフロント横のラウンジに向かう。


席に案内されてから見ると、うんうん、このバイキングは、なかなかに種類も多くて予想以上に良さそうだ。


サラダバーとドリンクバー、和食はご飯に、味噌汁、だし巻き卵、トロロ芋、ナスの煮びたし、ほうれん草の胡麻和え、漬物も数種類あるし、海苔や納豆、卵かけ用に生卵も。煮物に鶏の唐揚げもいいな。焼きたてパンも数種類。ベーコン、オムレツも。コーンスープもあってデザートも果物とアイス、ゼリーもある。


お盆を持って何にしようかなぁと嬉しそうな詩穂さん。

ふふふ、食べるの好きだもんね。


僕は、うん、飲み物はやっぱり緑茶、それからサラダを取りに行く。シーザードレッシングにしよう。


朝は和食がいいかな、へぇー詩穂さんはトロロかけ飯にするのかぁ。美味うまそうだ。同じのにしよう。味噌汁に漬物は外せない。ナスの煮浸し、ほうれん草の胡麻和えも少しずつ。唐揚げ好きなんだよ。蒸し鶏もいいな。


詩穂さん、焼きたてパンに目がいってる。美味しそうだもんね。迷った挙句、小さめのパンも1つ取った。よし、これは僕も1つ。小さめのオムレツも。


詩穂さんが気づいて、僕を見て照れくさそうに笑う。僕も自然と笑顔になる。


席に戻って、二人で手を合わせて

「「いただきます」」

うんうん!トロロかけ飯大正解!


そして、焼きたてパンは評判だけあって外側パリパリで中はフンワリ。

オムレツは半分ずつ分けることに。

二人とも、ペロリと食べて、満足満足!


デザートはフルーツとバニラアイス。

僕は温かな珈琲。

詩穂さんは、ダージリン・ティー。


時計を見ると8時過ぎになろうとしている。余裕を持って早めに来たのは正解だったな。

人が多くなってきた。


そろそろ……と部屋に戻ることにする。


12時チェックアウトだけど、せっかくだから11時半くらいに出て、駅前を見てまわろうかという話に。


まだ、余裕があるからもう一度、パジャマに着替え直して。


2人でベットに横になって、詩穂さんを腕枕しながら、この後、どういう風にまわろうかって話したりする。


抱きしめたり、時々キスしたり。

とにかく、くっついてゴロゴロして過ごした。

時間が止まればいいのに、と何度思っただろう。


それでも時間は、あっという間に過ぎていく。

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