第17話◇ 詩穂の日記◇8頁目
〇月✕日 初めてのデート(夜)
駅前まで、バスで戻ったわたし達は、駅のコインロッカーから荷物を出してから、予約していたホテルに向かった。
時刻はもうすぐ17時半。
慶ちゃんが再度、電話でチェックイン時間を知らせてくれていたお陰で、手続きはスムーズに済んだ。
フロント横がちょっとしたラウンジになっていて、朝食も時間を区切って、そこで、とるみたい。ここの朝食バイキングはドリンクバーもついていて、サラダから煮物、揚げ物、卵料理、蒸し料理にデザートまであって、かなり評判が良かったから楽しみ。
部屋に着いて荷物を下ろすとホッとする。
大人のくせにホテルに泊まり慣れていないわたしは色々確認。
こういう所、オバサン出ちゃってる?(汗)
ふむふむ、必要なものがコンパクトにまとめられている感じ。パジャマ持ってきたけど、部屋着もそういえば、備え付けられてるのね。アニメティグッズも可愛いのが揃ってる。
こじんまりとしているけれど、清潔感があっていい感じのお部屋だなぁ。
当たり前だけど、ベットはダブル。ドキッ!
お互いに貴重品だけ持って、夕食をして、駅前をブラつく為に部屋を出る。
今はカードキーなんだね。そのまま、フロントに預けずに持っていていいとの事。
ホテルの玄関を出て、二人で街へ。
今度は自然に慶ちゃんがわたしの手をギュッと握って、そのまま繋ぐ。
何気ない、この動作が嬉しい。
辺りはもう、夕焼け色から藍色に変わっていっている。
実は夕食、どうしようかって迷ったんだよね。
色んな惣菜を買ってきて、部屋でお喋りしながら食べるのも楽しいなぁって思ったりもしたけど、せっかくの初デートでもあるし、少し歩いた場所にあるレストランに行くことにした。
洋食と創作料理が楽しめるお店らしく、ハヤシライスやオムライス、ハンバーグなど、王道の洋食メニューが沢山。子供に戻ったみたいで楽しい。
迷いながらも看板料理という「ふんわりハンバーグ」のセットを二人とも頼む。
サラダとスープ付きでハンバーグソースが選べる。
わたしは大根おろしを乗せた和風ソース、慶ちゃんはデミグラスソースにした。
やってきたハンバーグを前に、二人で
「「いただきます」」
ほんっとに文字通り、ふんわりしてる!
看板料理だけのことはあるよ!
家で自分が作るのとは一味違う。
また、大根おろしに和風ソースがあっさり美味しくて。
ついつい、いつもの如く夢中で食べてるわたしを慶ちゃんが、ふふふって顔して見てて、ちょっと恥ずかしかった。
慶ちゃんのデミグラスソースのも美味しそうで、ハヤシライスやオムライスにも惹かれるし、もし今度また食べる機会があったら、他のも食べてみよう!と心に固く誓ったわたしだった。
季節の果物とアイスのデザートを食べ終わった頃には、わたしも慶ちゃんも、すっかり満腹になって大満足していた。
顔見合わせて
「「美味しかったねー!」」
お店を出て、すっかり暗くなった外を歩いて
近くのコンビニで冷たいお茶やジュース、それにスルメや裂きイカなんかを買う。
お酒は慶ちゃんが飲めないし、わたしは飲めるけど、別に無くても平気。
ただ、スルメは心の友なんで外せない。
手を繋いで、夜風にあたりながら、ホテルへの道を帰る。
ギュッと握ると握り返してくれる温かな手。
しみじみと幸せを噛み締める。
こんな気持ち、どれくらいぶりだろう。
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