第3話 ◇ 詩穂の日記◇1頁目
〇月✕日 本サイトでの出逢い
ちょうど今日は、慶ちゃんと出逢った記念日。
正確には本のサイトでお互いの存在を知り、コメントをした日なんだけど、記念日でいいよね。
そして、キリのいい5年目記念日の記念?として、この日記を書きはじめることにした。
思えば5年前のあの日には、慶ちゃんとお付き合いすることになるなんて、考えもしなかった。
本のサイトは、読書好きのわたしが本を選ぶ時の参考にしたり、感動したり面白かった本の感想を書き込んだりしていた。
実は感想や書評的なものは上手く書けないんだけど。
どうもわたしは思ったことを文章にするのが下手くそだ。
こんなに本読んでるのに何でだろうと自分でも呆れる。
でも書かずにはいられなくて書いちゃうんだよねぇ。
だから書いた感想コメントに返信というか共感が書き込まれているのを見た時、すごく嬉しかった。
あれはアガサ・クリスティのミス・マープルものだったっけ。
昔から推理小説が好きなわたしの、最初に好きになった海外作品がアガサ・クリスティだったのだ。
推理小説の場合は特に感想コメントを書くのに気を遣う。
ネタバレしてしまうと台無しだから。
今は、ネタバレありと表示できるから、それはそれでいいんだろうけど、個人的にはネタバレはしたくない。
でも感想書きたいというジレンマ……。
そうして感想コメントへのコメントもまた、書くのが難しい。
興を削がずに共感を伝えるのって、結構気を遣うんだもの。
それを慶ちゃんはサラッとやってのけた、ように見えた。
丁寧な文章だけど、ちゃんと共感部分がわかりやすく、でもネタバレせずに書かれていて。
素直に好感が持てたし、シンプルで読みやすいコメントだなぁと思った。
とはいえ、一番最初には相手の性別もろくに意識しなかったんだけど。
ネットの本サイトでコメントを交わすだけだし、そこは関係ないもんね。
コメントで”僕”といっていて、その時に、
「ふぅん、男の人だったのかぁ」
と、気づいた次第。
何しろ”タンタン”だもん。
外国の漫画にあったタンタンからかなぁと思っていたけど、ずっと後になって由来を聞いたら、タンバリンからだった。
タンバリンのリズムから思いついたって、ちょっと笑っちゃった。
いや、悪い意味じゃなくて、トボケてて可愛いなぁと思ったんだよ。
ちなみに、わたしのこの時の名前は”ムーミン”
ムーミン好きだからそのまま。
うーん、むしろあまりに有りがち。
ひねりが無い。
ふふふ、思い出すと懐かしいね。
こんな風に、あの頃のことを書くのも楽しい。
いいよね、誰にも見せるわけじゃなし、気ままに書いた方が続けられそうだし。
眠くなってきたので、今日はこれまで。
また、明日。おやすみ!
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