第24話 はあ・・・
憤怒が、「待ってくださいよ〜」と言ってくるメイド服の少女から逃げ切ったとき、空は暮れていた。
そろそろ宿でも取ろうかと、宿に行ったのだ。
「あ!お姐様!いやー奇遇ですね!」
奴が同じ酒場で自分と同じように、宿を借りようとしていたのだ。
勘弁してほしい。
「無視しないでくださいよ!」
正直、羽虫と同じくらいうっとうしい女である。
私はそう思いながら、無視を続行しようとするが、
「すまんな、ローブの方、部屋はあと一室しかないんだ、この嬢ちゃんが先だからな。あんたは他の宿に行ってくれんか?」
(宿がもう空いてない?しかも誰のせいで?)
憤怒は右側にいる、目を輝かせている少女を睨みつけて、
(こいつのせいで???)
憤怒はまた、くすみかけていた怒りが蘇り、いますぐにでも半殺しにしたい思うところだが、流石に部が悪い。
自分の攻撃が一切当たらない相手に勝機などあるはずがない。
憤怒は理性ある生き物のつもりである。だから、勝機のない戦い、価値のない争いや面倒ごとはしないのである。
「わかりました」
憤怒は後ろを向いて歩き出した途端左手を掴まれ、
「大丈夫ですよ!宿主様、私とお姐様、両方同じ部屋に止まればいいんですよ!」
「冗談じゃない!」
憤怒はついに発狂して逃げようとするが、メイド服の少女が両手で憤怒の左手を掴んでいて逃げれない。
「いいじゃないですか!私とお姐様の中じゃないですし」
と上目遣いで、まるで主人に媚びるメイドのように言ってくるのだ。
「ふざけるのも大概にしてください!あなたはいつまで私のことを愚弄するつもりですか?!離しなさい!」
「なあんでそんなに嫌がるんですかあ?!いいじゃないですか〜?!」
という口論が五分続いた頃に、メイドの少女がある提案をした。
「それじゃあ、賭けをしましょう!」と。
最初は憤怒はその意味のわからない提案に嫌がったが、そうした途端に唐突に、ひょっとしたら鬱憤ばらしになるかもと閃いて、憤怒はその提案に乗ることにした。
「それじゃあ・・・
賭けの仕方は至ってシンプルで、ある質問に対して「はいかいいえ」で答えて、当たった方の勝ちとするものだった。
勝負は三回勝負。
メイドの少女はもちろん一緒に宿に止まる権利を賭け、憤怒の場合はメイド服の少女のほっぺをつねってぐるぐると回す刑をする権利を賭けた。
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