魔女討伐
第20話 目を覚ましていた
魔女は目を覚ました、いや、覚ましていたの方が正しいだろうか。
いつのまにか目を覚ましており、汗を垂らして喘ぎ声を出していたと言う方が近い。
辺りを見渡せばそこは自分の部屋だと言うことがわかる。
紫色のカーテンが陽光を遮っているため部屋全体が薄暗く、 床には高価なはずの魔術書が散乱してその下に埋もれたビスケットの床が見えない。
目の前にあるビターチョコで、服を入れるためのクローゼットが開きっぱなしで、自分のローブが整然など到底言いあらわせるはずもないほどに山のごとく積み重なっていた。
そして、肌色のビスケットのベットはシーツに包まれていた。
魔女は自分の服装が血に飛び散ったローブのままであることに気づく。
どうやらそのまま疲れて寝てしまったらしいと思った途端にその後に起こった自分の夢を思い出した。
魔女は憤慨してろうそくを置くためにある机を左手で叩き壊した。
苛立ちを隠しきれないほどに、あの記憶は魔女にとって忌まわしきものであった。
叩き壊すのに驚いて小悪魔が影から、にょいと出てきては、「どうされたのですか? 」と聞いてくる小悪魔に対して、魔女は机の破片を小悪魔に思いっきり投げつけ小悪魔の額に直撃、額に痣ができる。
痛がる小悪魔を知らんぷりして、朝ご飯を食べようと厨房に向かっていった。
朝ご飯を食べ終わった後、魔女はこの家をどうするか考えた。
別にあってもなくてもどっちでも構わないと思っていたので、いっそのこと燃やしてやろうと考えたが、焦った小悪魔に「すべてを片付けたとき、貴方様は一体どこに帰るつもりなのですか?」と説得され、確かにそうだと思いそこを後にした。
そして、出発の時。
憤怒の魔女が玄関を出て、後ろを振り向けば、当然、お菓子の家がある。
そのお菓子の家の屋根には太陽の光などさしておらず、残るのはただ黒く焦げたビスケットであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます