第17話 魔女の才能
あとは早かった。
今までの流れが嘘みたいに。
魔女はまず、逃げようとした奴の頭を片手で鷲掴みにし、菓子の壁に叩きつけると、今度は首を絞め始めた。
「おねえ…ちゃん… ーーー 」
そう奴が言った途端、首をより強く絞められ、声を一声も上げさせなかった。
「さっきあなたは身体中に傷が付いていることを不利だと言いましたね? あなたには特別に私のとっておきで殺したあげますよ 」
魔女は腕を高く上げ、
「我が主よ、かのものは罪を犯し、かのものを罰し、かのものを導け! 目には目を、歯には歯を、痛みには痛みをっ!! 」
魔女が大きく振り上げた手を相手の肩に当てた瞬間、奴の腕が落ちた。
私の痛み、あなたにあげる(《イヒ・ウェア・エスディ・ゲーブン》) ーー 触れた相手の部位に自分が今まで与えられたダメージを与えるというもの。
例えば、魔女が火傷を負っていれば相手の触れた部位に火傷を負わせることができ、大量の切り傷を負っていれば、相手の触れた部位を切り刻むことができる、まるで一箇所を大量のダガーで刺されるみたいに。
「いやああああああああああああっ! 」
か弱い少女から出た断末魔の叫びを、ケタケタと笑う魔女。
「どう…して、そんな魔術が…それには大量の魔力が必要になるのに 」
「ふん、冥土の土産に教えてあげますよ、私は傷つけられれば傷つけられるほどに魔力を生み出すことが出来る体質なんですよ」
「魔女の…才能 」
稀に生まれながらにして魔女になることを許されたもの ーー それが魔女の才能だ。
彼らは自分で魔力を生み出すことが出来るため、交わりの儀式をする必要がない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます