第2話 無邪気

とても美しいと黒髪の女性は思う。

この子達は全員孤児。自分のように捨てられた子供をこの家に入れてあげている。

ちなみに、この家に来た順からモノ、ジ、トリ、テトラ、ヘプタ、ヘキサ、ペンタという。

これには二つの理由がある。

黒髪の女性がこんな名前をつけたのは他でもない黒髪の女性自身が魔女だからだ。

魔女の中の掟。 自分の真名を教えてならないというものがあり、なぜダメなのかというとその個人を特定できるもの(爪、血、つば、名前etc)があるなら、呪術で殺すことなど、いとも容易くできるからだ。

黒髪の女性はそのようなことはしないが、万が一、他の悪魔や魔女に聞かれたりしたら大変なことになる。

だから黒髪の女性はその名前を彼らにつけたのだ。

あともう一つはーー

「お姉ちゃんっ! 私、大人になったら、お姉ちゃんみたいな魔女になるのっ! そして、色んな人をお姉ちゃんみたいに助けたいのっ! だから、私にまじゅつを教えてっ! いいでしょ? 」

モノは黒髪の女性に無邪気に言った。

そう『無邪気』に、きっと夢を思い描くように思い、言ったのだろう。

黒髪の女性は分かっていた、分かってはいたのだ。しかし、自分の中にいる怪物を、閉じ込めることが出来なかった。

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