怒り狂った魔女
第1話 お菓子の家
ここはある森の中。
暗くて不気味な木々の集まり。
それを通った先にビスケットやチョコレートといった数多のお菓子から作られた家がある。
ここはさっきも述べたとおり、暗い森のはずだが、そのビスケットでできた屋根の上に微かに陽光が当たっているようで、ビスケットが少し焦げていた。
その家の中からは無邪気でここを恐ろしい場所だと知らない純粋な子供たちの声がする。
「みなさん、ごはんですよ」
「「はーい」」
黒い髪の毛が地面につくかつかないか程度に伸びている黒いローブの女性が、優しくはっきりとした声で純粋な子供たちを呼んだようだ。
均等に置かれた野菜のスープとパンが置かれている、ビスケットで出来た縦長の机に沿って、並べられた丸いクッキーで出来た椅子に颯爽と七人の子供達が座っていき、スプーンを手に取って口に運んでいく。
「おいしいよ! お姉ちゃん」
「ありがとうございます、モノ」
モノと呼ばれている長髪の金髪少女に言われて、女性は可愛いげな笑顔を見せ、モノも愛らしい笑顔を見せた。
「お姉ちゃん、今日ね、このくらいの虫を見つけたんだよっ! 」
ヘプタと呼ばれる鼻垂らし小僧が今日、捕まえた虫の話をしてるらしい。
「わあ、すごいですねっ! 」
とお姉さんは拍手をしながら、感嘆した。
「ヘプタ、食事中に虫の話なんてしないで、ご飯がまずくなるじゃない」
態度のでかいヘキサと呼ばれる少女はヘプタに嫌みたらしく言った。
「あ、ごめん」
と鼻をすすり、ヘプタは無関心な謝りをした。
「あんた、反省してないでしょ? 」
ヘキサが問い詰めると、
「まあ、そういうなよ、ヘキサ、そんな細かい話じゃないんだし、いいじゃないか、少しぐらい」
眼鏡をかけた優しいおにいちゃんトリはヘプタの弁護をした。
他、一方では、
「あああああっ!私の服にスープが付いちゃったああっ! 」
目の下にくまが出来ているジと呼ばれる少女はお気に入りの服だったのか、その服にスープが付いただけで泣きじゃくっていた。
「大丈夫? はい、これで拭いてあげる」
テトラと呼ばれる少女は近くにあったふきんでジの服を拭いてあげた。
トリと同じ、年上に見えるが、トリとは違う愛情やぬくもりを持っているように感じられた。
「あ…ありがとう」
ジは照れ臭くなったらしく、クマのある顔を赤くしている。
「…」
その間、ペンタと呼ばれる7人目の少年は一向に喋ろうとも思っていないようで、黙ってスープをスプーンですくい飲んでいた。
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