第39話 霧

牧番のとって霧の日は一番辛い。

霧をずっと見て過ごす。


霧が晴れれば、牛の確認に行かなければならない。

霧が日没まで晴れないと1日を無駄に過ごすことになる。

少し霧が薄くなったと思ったら、急に濃霧になる。


一度、雨が降って来たので、雨ガッパで出直そうと戻っていたら、急に霧が出て来て濃霧。その時は、クルマに乗っていたので助かりました。

また、霧の出る様子の無い時でも急に霧に包まれ足元しか見えない。牛道を歩いていたので、このまま歩けば、どこかに着くだろうと足もとだけ見て歩いていると水場に出て助かりました。

自然の天気は、よく分からない。


霧は、湿度が高く、気温が低い時に出るが、気温が低くなくても雨が急に降り、温度が下がると霧が出る。東西南北まわりから流れて来ることもある。


NHKスペシャルが撮影に来た時、雨が冷たくなり、霧が流れて来たので、「もうすぐ霧が張りますよ」と伝えると「まだ、撮影したい」と言う。

プロデューサーに「チームを守る義務があるなら、帰るべきです。僕は帰りたいです」と言うとやっと聞いてくれた。牧野を出て牧番小屋に着くと10m先も見えない状態。


霧に包まれると方向が分からなくなり、

もう、遭難です。

夕方に包まれると最悪。


今日も夕方から霧が出てきました。

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