第38話 いない牛

畜産農協の放牧牛の無事を確認していたら、牛体番号312「たかこ」がいない⁉︎

昨日の健康検査で退牧になっていないか牧番小屋に帰り、退牧記録を確認してもない。


なんか312は、トラックに乗せられていた様な記憶があった。

牛体番号312「たかこ」は313と314といつでもどんな時でも三人連れ、それも分かりやすい場所にいつも居てくれる。良い娘たちだ。


312がトラックに乗せらる時、「あー三頭の群れが壊れちゃうのかー。寂しいなー」っと思って見ていた記憶があった。

畜産農協の担当者に確認「トラックに乗せられていた記憶があるのですが、312は退牧していませんか?」

支所に確認してくれるらしい。

しばらくたって「312は退牧届けが出ていないので、いるはず。探してください」との事。


ほのかな期待を込めて313と314を確認する。群れの合流はない。薮という薮に潜って上から見たり下から見たり。

凹地という凹地に降りて、どこかで動けなくなっていないかを探し回り、日没まで。もう、牛の牛体番号が見えなくなったので、畜産農協の担当者へ電話。明日の朝、担当者も牧場へ登ってくれるらしい。

牧野組合長にも電話し、いろいろアドバイスをもらい、しばらくしたら、

支所からの電話。

「畜主のお父さんの代わりに息子さんが行き、当日、突然、連れてかえると言い出し、連れてかえったので、お父さんに確認しても連れて帰ってないと言われた。息子さんに確認して、やっと連れて帰っているのが分かりました。退牧届けが出ていないので、チェック漏れしていた様です。申し訳ありません。」


いない牛を5時間探し回りました。


勘弁してくれ。

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