第37話 牛のこと

この頃は牛が愛おしい。


牛は、草食動物なので、基本的に優しい動物だ。

しかし、500kgくらいあるので、最初は正直怖かった。


この頃は、毎日、牛たちの中に入るので、僕は餌を持って来てくれる人。危害を加えない人と認識してくれた様で、すり寄ってきたり、ベロベロ舐められたりする。


ある畜主は「牛にナメられてはいけない」と言っていたが、僕は友達でいたい。


牛は、畜主ごとの群れで生活する。

群れを動かしたい場合は、その群れのボスを動かすと皆ついて来てくれる。

ボスが分からない時は、一番体格の良い牛を動かすと皆ついて来てくれる。

良い子たちだ。


僕がいる牧場は繁殖牛の放牧牧場なので、雌牛しかいない。ほとんどが種付けをしているが、自然交配をしている畜主もいる。

隣の牧場には、種牛がいるので、発情が来たら、そこの牧場に入れる。

受精できたら、僕のいる牧場で放牧する。


昔から、「夏山冬里」と言って、夏は山の牧場で放牧するが、冬の山は極寒なので、里へ降ろす、しかし、周年放牧(冬放牧)を十数年前に始めた人がいた。

寒さで牛が死ぬんじゃないかと。言われたらしいが、牛は、順調に体重も増え、元気に育った。

牛も寒さの中では、毛が密集し、冬毛に生え変わるらしい。


南の牧場だが、寒い時で、氷点下14度くらいになる。

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