第35話 最終話

実家に帰り、知り合いの会社のデータ収集や簡単なアップロードの仕事をしていたが、それが終了した頃、最初の会社の先輩が北海道で会社を作っていて、「オーバーワークなのでチラシの仕事を手伝ってくれない?」と言われる。

とりあえず、AdobeCCとモリサワフォントを契約する。

メールとファイルストレージでデータのやりとりをし。電話で説明を聞く。

僕は打ち合わせに出かける事がないので、心地良かった。

会社の様に時間に縛られることもない。

僕は、21時に就寝。3時に起床し、仕事をする毎日を送っていた。

レギュラー案件も出来、満足していた。


しかし、ある日、親父の田舎に行くと、従姉妹の旦那さんから、「牧番を募集している牧場があるけど、やってみない?」その時は、冗談の様に話していた「バギーとかで回れると面白いですねー」と。


しかし、3日程考えた。もう50歳だ。これが最後のチャンスかもしれない。以前、横浜の叔父と話した事を思い出す。その叔父は、牧場が好きだったが80近く。

「やりたくても、もう遅いよ」と言うので、

「何歳だったら、やりましたか?」と聞くと

「50歳だったら出来たかもね」と言っていた。

僕は、今、50歳。


今のチラシの仕事は面白かったが、牧場でも出来るかもしれない。どうにかなるだろう。とポケットWifiを持って、牧番小屋に愛犬とともに引っ越し。

ポケットWifiは電波を受け取れない。ざるとアルミホイルとまな板立てで、パラボラアンテナを作ったら、やっと4GLTEで電波を受信できるようになった。しかし、ケータイは、アンテナ1本か圏外。ほぼ話も出来ない状態。

牧番小屋から300メートルくらい歩くとクリアに電話できるが、それでは、PCを見ながら話はできない。北海道から一度仕事が入ったが、やりとりが出来ないので、依頼は止まる。

4月中旬から11月末までだが、牧番に専念することにした。


今、牧番生活4ヶ月目が過ぎた。

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