第29話 ボーダーコリー
僕は、その頃、凄く寂しかった。
親父が死に、母を支えなくてはいけないプレッシャーがあったが、会社を辞めてしまい、逆に母から支えられるようになる。牧番の仕事は流れ、いつ死ぬかも分からない白血病。
感情の浮き沈みが激しく友達も少なくなっていった。
僕の病名が変わる「双極性感情障害」いわゆる躁鬱だ。
もう、たまらくなったので、精神科の医師に相談する。
可能なら犬を飼うと良いよ。犬の顔を見ると自然と笑顔が溢れるでしょ。
アニマルセラピーだ。
小学生の頃、雑種の犬を飼ったことがあったが大人になるに連れて世話が出来なくなり田舎に里子に出すという可哀想なことをしてしまったので、今度は一生付き合う気持ちでいた。
僕は、パピヨンかボーダーコリーで悩んでいた。
母が室内飼いを許さなかったので、中型犬のボーダーコリーに決めた。
ボーダーコリーは、幼稚園児くらいの知能指数がある。きっと良いパートナーになってくれるはずだ。
僕はペットショップでは買いたくなかった。親犬がどんな犬かも分からず、生まれた環境もどこから来たのかも分からない。
そこで、ブリーダーを探す。その時期に生まれるボーダーコリーをブリーディングしているブリーダーは少なく、やっと見つけたのは、ウチからクルマで6時間くらいのところだった。
連絡をし、そのブリーダーの犬舎へ向かう。
一泊し、また、次の日も見に行く。
繰り返し二回見に行く。
気の強そうな男の子と優しそうな女の子まで絞り込んだが、ボーダーコリーのオスは気が荒いと聞いた事があったので、女の子の方に決める。
三ヶ月目で引き取り、それから三ヶ月間、僕の部屋で世話していたが、外飼いに変えると「クンクン」鳴く。母も可哀想になったのか、室内飼いを許してくれた。
そして、それが、普通になり日常となる。
いつか、牧野を一緒に走れる日が来ると良いな。
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