第31話 霧山村
次に、地域おこし協力隊募集を見つけたのは、
「霧山村」人口100数人。麓も田舎だが、そこから2時間かかるとんでもない山奥だ。
歴史的には、山賊が住み着いた村らしく。昔は、外部とは接触しない隠れ里だった。
メインストリートは、郵便局とガソリンスタンド、昔ながらの雑貨屋しかない。
あまりに山奥で、住民は、皆親戚の様なもの。まず、犯罪は起こらないので、警察がいない。
清流と滝と紅葉が有名だった。
そこの観光協会の仕事だった。
例のごとく、前日入りし、霧山村の観光地を一周して民宿に泊まる。
宿泊客は僕ひとりだったので、食事の時、おかみさんが、色々な歴史を教えてくれた。
僕は、情報を持っていないとプレゼンには勝てない。
面接会場は、霧山村から4時間ほどの街中にある商工会議所の一室だった。
面接では、昨日は霧山村に泊まって来ました。こんな事もこんな事も出来ますと気合いで押し切って合格。
あと、ひとり20代の女の子が合格したが、僕より一ヶ月遅れてくるらしい。
とりあえず、廃民宿に住まわせてもらう。
家賃は3万円。敷金はない。僕は大家さんに六ヶ月分渡した。そこで、信用を得た様だ。
風呂は薪ボイラー。しかし、燃えるゴミも一緒に燃やすので、燃えるゴミはビニールとアルミしかでない。
一階に住むか二階に住むかを聞かれた。二階は元宴会場で畳も綺麗だった。
風呂は一階のみだったが、トイレは二階にもあった。
後から若い女の子が来るという話を聞いていたので、僕は一階に住むことにした。
昔の民宿だけあって、部屋も厨房も広く古いことを除けば、居心地は良かった。
大家さんも犬を飼っていたので、「愛犬がいるなら連れて来ても良いよ」と言ってくれたので、二週間後、愛犬を迎えにいく。
嬉しい。
しかし、大家さんは、中型犬を室内飼いするとは思っていなかったのかもしれない。
ある日、BBQがあった。僕は呑めない人がいたので、その人に送ってもらう様にお願いしていた。工事関係者の住民が「今日は2tのユニックで来たので自信ないなぁ」「かみさんを呼ぼう」奥さんが来た。席に座り「かんぱ〜い」
(えっ?迎えに来たのに呑むの?)
と思ったが、黙っていた。結構、呑んでいる。
その村は「警察がいない」「事故っても人がいないので対物事故」皆親戚のようなものなので、事故処理も自分たちでやる。外部に漏れることはない。
そういう島の話を聞いた事はあったが、目の当たりにすると結構な驚きだった。
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