第26話 検版

検版はひとり。本条さんと言う人がいた。

製版会社だから検版と言っていたが、要は、内校正と最終チェックだ。


デザイナーは、皆、作った出力紙をそのまま本条さんのところに持っていく。

ぼくもそれに習っていた。

しかし、日付などを間違っていると恥ずかしかったので、僕は、自分で一度チェックしてから持って行く様になる。


チェックはミスが多いと時間がかかる。

僕の出力紙にも赤は入るが他の人より極端に少なかった。

次第に僕は、本条さんに気に入られる様になり、僕も本条さんを尊敬していた。


本条さんは、校正能力が高かった。文字校正は、もちろん、デザイン校正もしていた。そして、全てのデザイナーの案件、スケジュールを把握していた。


僕は、本条さんが係長や部長になるべき人だと思っていたが、今の現場が好きらしい。


ネットなどにも興味がある様で、自分が分からないことは、僕に聞いてくれる様になった。


それが嬉しかった。

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