第17話 フリーランス
前回は、小島印刷に拾われ、ほとんど出来なかったので、今回は、本気でフリーでやることにする。
まず、短期契約や外注の仕事があれば、と思い、派遣会社に登録する。
ふたつの派遣会社に行ったら、どちらも試験があった。
僕をランク付けする為だろう。
一つ目のの会社は、A4のチラシを1時間で作るものだった。
とりあえず、どんなファイルやソフト、フォントが入っているかチェック。
その中に前の人が、作った地図が、あった。(消し忘れだな)と思ったが、その地図の線幅などを修正し、配置。あとは、そう時間のかかるものではないので、1時間で仕上げた。面接官は驚いていた。「ほとんど完成できる人はいませんよ」地図のことは、向こうのミスだから黙っておいた。
結果はAランク。
二つ目の会社は、10分でベタ打ちするものだった。
7分ほどで打ち終わり、チェックする時間を残しておいた。
その時も面接官からは「ディレクターと聞いていたので、あまり期待していなかったが、タイピングが早いですね。それも正確です」
僕はブラインドタッチなんか出来ない。自己流のタイピングだ。
しかし、こちらもAランク。
それから、営業活動と制作。
僕は、「信用」が欲しかった。ギャラは二の次だ。
なんでもやった。名刺でもチラシでもリーフレットでもメニューでもデザイナーの手伝いでも小さな新聞広告もWEBサイトも。WEBサイトは、土屋くんに頼んだ(その頃、土屋くんもフリーになっていた)マージンなんかいらない。信用を勝ち取れば、その後のグラフィックデザイン案件は僕が作る予定。
タダでパンフレットのカンプを作ったこともある「プレゼンに勝ったらギャラを払いますね」見事に落ちた。
後で聞いたら、競合していた数社が順に受ける「出来レース」だったらしい。
しかし、一応カンプが必要だったと。
しかし、その会社は、制作事務所まで気軽に入れてくれる様になり、高齢の社員から、「Macの使い方教えてよ」とか社員並みの扱いを受け、レギュラーではないが、定期的に仕事を出してくれる様になった。
4月から初めて、少しずつ仕事も収入も増え、調子よくなった頃。
最初の会社の上司、島村さんから、電話が入る。島村さんは他の企業に転職していた。その会社は世界的に名の通った印刷会社で、PCの基盤やお酒などのパックも作っていた。
島村さんから「商業デザイン部だけど、人を探しているので、入らない?」
と言われた。
どうしようかなぁ。ここでブレては、いけない様な気がした。
少し、考えてみる。
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