第16話 ふたつのデザイン課

「小島印刷」には、ふたつのデザイン課があった。

ひとつは、僕のいる生産部に付いているデザイン課

もうひとつは、営業部に付いているデザイン課


営業部に付いているデザイン課は、WEBもやっていて、徹夜の連続。泊まり込みで仕事していた。

一方、僕たちのデザイン課は、ちゃんと寝て、ちゃんとご飯を食べて、健康な身体でないと良い仕事、デザインは出来ないと考えていた。

トップの係長と僕ともうひとりのディレクターで、仕事配分、時間配分をし、売り上げも全員が平均的になる様に、調整し、女の子は21時に帰れる様に。男も23時に帰れるように調整していた。そして、売り上げも毎月きちんと達成していた。


すると営業部のデザイン課のトップ(部長)が、「お前ら、早く帰って仕事してるのか?ウチは、皆徹夜してるぞ」と言ってくる。


後で、売上票をみて、毎月達成しているので、驚いたらしい。


しかし、僕らのデザイン課が全員呼ばれる。

「これからは、ディレクターもデザイナーもない。全員が、ひとつの案件をクライアントと打ち合わせをし、デザインして、徹夜してでもデータを上げろ」と言う。

僕は、潰しにかかってるな。と思った。

そんな事に巻き込まれるのは、嫌なので、契約更新をせずに辞めた。

もうひとりのディレクターも僕と同じことを思ったのだろう。

「それなら、フリーでやります」と言って辞めた。


後で聞いたら、残ったデザイナーは、営業ひとりひとりに頭を下げさせられ

「仕事をください」と言えと酷い扱いを受けたらしい。

そして、全員が辞めた。


部長は、満足だったろうな。

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