第10話 初入社

僕の入った会社は、1ヶ月研修がある。まぁ遊びのような研修で同期とワイワイやっていた。一方、大学から付き合っていた彼女は、地元の小さな広告会社に入ったので、入社当日から、夜11時まで働かされ、キツイ日々を送っていたようだ。


そんな二人の価値観が合う訳もなく、研修が終わり、地元に帰ったら、あっさりフラれた。僕は繁華街を目的もなくウロウロしながら、号泣していた。

その後は、現実を受け止められず、ストーカーの様になってしまう。


そんな時、会社の先輩、塚田さんが呑みに誘ってくれた。

居酒屋、屋台、BAR、クラブ、ナンパ。何件もハシゴして飲み歩いた。

塚田さんは、大学生の頃から、クラブ通いしていて、クラブやBARの集まる若者の街では、結構、顔が知られていた。

すごく楽しかったので、頻繁に一緒に呑みに言った。


金曜と土曜は呑んで呑んで踊って踊って、ナンパして。

塚田さんが、知らない人も交えてシャンパンを振る舞えば、僕はワインを振る舞う。

しかし、日曜は、スーツで呑みにいく。

金曜と土曜の不祥事を無かったことにする為に、お店の人にもちゃんとしたところを見せておかないといけない。


そんな生活が何年も続き、僕もその街で顔が知られる様になる。

しかし、「危ない奴ら」というレッテルを貼られてしまう。



新入社員の女の子を連れて行ったら、知らない人に「あの人たちがどういう人たちか知ってるの?一緒にいたら危ないよ」と言われたらしい。


まー飲み歩いている姿しか知らない人は、そう思うわな。

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