第4話 エーちゃん

僕のいたクラスに授業中いつも窓際の席で外をボッーっと見ていた奴がいた。

教師が激怒し、「お前は将来何になるつもりなのか?」と言い放った。

するとそいつは、ガタッと立って「しゃちょー」っと。

僕は、冗談かと思ったが、そいつに聞いてみると

お父さんは焼き肉チェーンの社長で

お母さんは、繁華街にビルをいくつか持っているオーナー

叔父さんは、パチンコチェーンの社長。

お母さんが一番お金持ちらしい。

家は、高級住宅街の一軒家お手伝いさん付き。

月の小遣いは、15万円。


信じられないくらいのお金持ちで、「社長になる」というのも冗談ではないようだ。


エーちゃんの周りには、昼時になると沢山の人が集まってくる。

食堂で昼飯を奢ってくれるからだ。


しかし、エーちゃんも好みはあるので、気のあった数人を連れて放課後遊びにいった。僕も入っていた。映画、ライブ、マクドナルド、焼き鳥屋、BAR。全て、エーちゃんの奢りだ。お母さんの持っているビルに映画館が入っているので、映画のチケットはタダでもらえるらしい。


僕とエーちゃんは気が合い、二人で映画を見た帰りは、老舗のピザ屋で、カクテルを飲みながら、ピザを食った。ふたりともそこのレモンとチキンのピザが、気に入っていた。僕は、ふたりの時に僕が払える額であれば「割り勘」をお願いした。それがエーちゃんは、相当嬉しかった様で、一生の友達になる。




エーちゃんが生まれたのは、繁華街の中にある商店街の二階。

糞尿の臭いがするので、友達をそこへ入れるのが、嫌だったらしい。

小学生の頃は、祖母のところに里子に出され、お母さんの手料理は食べたことがない。いつもお手伝いさんの作った料理をひとりで食べるか外食。ひとりの外食も寂しいので、友達を誘い奢るらしい。


そんな話を僕にしてくれた。





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