第3話 高校の美術部へ

中学三年の進路相談の時、担任は、僕の言っていることが、よく分からないらしいので、美術の先生のところへ行き「芸大に行きたいのですが、どのようにしたら良いですか?」と質問してみる。美術の先生は、芸大へ行くのが、どれだけ大変か知っているので、「地元の大学で芸術学部があるところがあり、付属高校がふたつあるので、そこへ行っては、どう?芸大へ行くとしても滑り止めにはなるよ」との事。ひとつは、工業高校で普通科もある。もう一つは、デザイン科と普通科。僕は、デザイン科に行きたかったが、OBの入学した履歴がなく、通学に1時間以上かかる。そこで、工業系の普通科を薦められる。

そこの美術部は、レベルが高いらしい。

偏差値は相当低い。落ちる人がいないくらい。

下から三番目くらいの高校かな。


高校は、一年生は坊主頭。軍隊の様。

秋頃から髪を伸ばしてもよくなる。

坊主頭に耐えられない人やヤンキー達は、秋までに辞めてしまい。二年生になると1クラス減る。そんな高校だ。


中学の同級生が、十数人入っていたので、すぐに馴染めたが、身長が高いので、応援団への入部を即され、僕が、柔道をやっていたことが、分かると、柔道部の先輩たちから追いかけられ、しかし、美術部に入った。

美術部は、新入部員の勧誘活動はしない。

「入れって言っても特殊な人しか入らないからねー」

そのとおりだ。


新入部員は、めっぽう絵の上手い田中くんと素人の僕とダリのような絵を描く池内くんだ。

皆で、油絵を描いていると池内くんは、茶色の布を水色で塗っている。

何か意図があるのかと思ったが、「なんで水色で塗っているの?」と聞くと

「え!何色なの?」と返答。


池内くんは色盲だった。


絵は大好きだけど、色盲だと芸術大学の美術科は入れるけど、デザイン科は入れない。大きなハンデだ。

相当、悩んでいた。モノクロで描く時は、ダリの様な変わった絵を描いていた。

しかし、あまり色を使いたがらなかった。


「色盲で描いた絵も面白いんじゃない?」と軽いことを言ってしまった。

池内くんは、落ち込んでいた。

しかし、友人になってくれて、「色盲とはなにか」を教えてくれた。

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